率直に申し上げると、当方は著者と同世代であり、たまたま大学院で東洋史の近現代史で勉強している似非インテリである事から、僭越にして恥ずかしながら著者に対してはジェラシーを感じている。その事を前提に以下のレビューを読んで頂ければ幸いである。
本書のみを読む限りでは著者は先の大戦に関する評価は一旦保留して、証言者達の言葉をなるべく鮮度を保ったまま伝達しようとしている姿は非常に好感が持てた。その様にして、「大東亜戦争」(尚、当方は「太平洋戦争」の呼称は用いない立場の人間である。)と「インドネシア独立戦争」を別々に切り離す事で、左右のイデオロギーや善悪の倫理観とは距離を取った場所で、残留日本人を観察している点で本書は貴重であると考える。
また、「開戦70年目の夏」に出版された事もあり、戦場(戦時下ではない)経験者が次々と鬼籍に入られる中で、こう言った証言を元にした書籍が現れた事は有意義であると思われる。
惜しむらくは他の方も指摘している通り、少々文章力に難がある点である。ただ、これは今後どうにでもなる事であるから、著者の次回作に期待したい。