脳科学・意識から始まって、いろいろと関係する書籍を読み進めていくと、ほとんどの文献で、この本を参考にしていることから、(順序としては逆であったのかもしれないが)この本を手にとって見た。
内容は限りなく物理である。とはいえ、内容的に難しすぎる記述はなく、数式も平易なものばかりなので、本を手にして眺めただけで諦めてしまわないよう。
脳と心を物理現象として捉えるという気風は、もはや当たり前のものとなってきているように思う。それだけに、最近ではちょっと大学でかじった程度の物理の知識を使って、「稚拙な」意識論を展開する本が増えているように感じる。量子論というと、不確定性原理か何かの影響だろう、「厳密に一つの値に決定できない」という部分だけ一人歩きして、それを安直に自由意志などに結びつける著者が多すぎる。
そんな中で、ペンローズは500ページ以上もあるこの本の大半を、物理理論の話に裂いている。TV受けするような低俗な「意識論」を期待して読むには耐え切れないだろう。それだけに、そういった理論の背景にあるものをきちんと把握しておきたい(もちろんこの本は導入に過ぎないが)と欲する方にはぜひともお勧めしたい。
ただ、後半になってくるとこなれてくるとはいえ、訳が直訳調で味気ないのが惜しい。