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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
古代ローマに関する本の落穂拾い(1),
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レビュー対象商品: 皇帝たちの都ローマ―都市に刻まれた権力者像 (中公新書) (新書)
本作は私が持っている新書で最も分厚いのではなかろうか。約400頁にもなる。内容は、古代ローマの権力者、主に皇帝たちの事跡を、図面や写真等を適宜用いてローマという都市に刻んだ建造物・インフラの面に触れながらまとめたものである。しかし、塩野七生氏の長大なローマ人の物語シリーズでも権力者の公共事業についてしっかり触れられていた。したがって、ローマ人の物語シリーズを読破した人が本書を敢えて求める必要はないだろう。教師と医者に免税の特権を与えたのはウェシパシアヌス帝だとしており、塩野氏の著述と合わない点もある。長大な古代ローマの歴史を1冊にまとめた労は多とするが、古代ローマ史の適度な概略本以上でも以下でもない。そしてローマという都市に関する本でもあるから、本書はコンスタンティヌス帝の遷都で終わっている。そういう意味では古代ローマ史を完全にカバーしている訳ではないことに注意してほしい。他のレビュアーが述べているように、ローマという都市へ旅行する機会があるときに、古代ローマの歴史に思いをはせるために1冊荷物に詰め込むのには適した本ではあるが、大いに薦めるまでには至らない、というのが正直な感想である。
7 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
古代ポリス世界から中世世界へ,
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レビュー対象商品: 皇帝たちの都ローマ―都市に刻まれた権力者像 (中公新書) (新書)
この本には前書き・あとがきがないため著者の意図が伝わりにくい。したがっていろいろな読み方があるのは自然なことと思う。古代史は個々のポリスから世界帝国への統合といった推移である、とは多くの人の捉え方である。著者はあえて一都市ローマに視野をしぼり、世界を支配したポリスローマが皮肉にもその帝国の世界性ゆえ地方の一都市に成り下がる過程を強調したのだと思う。 本の冒頭から唐突にカエサルの名を出したこと、グラックス兄弟の改革から話を始めるのはまさにそういう意味で象徴的である。 他の評価でも指摘されているとおり本書にはローマの建築に関する記述が多い。これはローマの観光案内のごとく読めそうだが、そうではあるまい。先ほどの趣旨に沿えば、異教的民主制ポリスからキリスト教的世界帝国への推移の具象化とも読めるのである。記述されている建築が全て政治的、宗教的意味合いが強く、百万の民衆が住む都市として伝わるところが少ないのだ。 読者はたまに垣間見られる政治史の記述になにか距離感といったものを感じないだろうか。ネロを自殺に追い込んだのは都市ローマであろうか、ヴェスパシアヌスを皇帝にしたのは都市ローマであろうか。五賢帝は都市ローマから生まれた名君たちであろうか。バルビヌスとプピエヌス(本書では彼らを個人名で呼んでいない。)が殺されゴルディアヌス三世が即位する際の記述はまことに象徴的である(P.371~372)。 歴史のダイナミクスを一都市に凝縮した本書はまさに西洋古代史にふさわしい傑作だろう。中公新書には新書とは思えない良書が多いが、間違いなくこの本は最も高尚な1冊であると思う。
5つ星のうち 5.0
塩野七生の『ローマ人の物語』を再読すべきか悩んでいる人におすすめ,
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レビュー対象商品: 皇帝たちの都ローマ―都市に刻まれた権力者像 (中公新書) (新書)
しばらく前に『ローマ人の物語』を読み終わってしまい、もう一度読み直してみたい気もするがさすがに全15巻はキツい、 と躊躇していた私にとって、前2世紀半ばのポエニ戦争終結前後から 後330年のコンスタンティノポリス遷都に至るローマ史の主要部分を (約400頁と分厚いが)新書1冊で「復習」できる本書は、非常に好都合であった。 本書に対してかなり低い点をつけているレビュアーもいるのは、 歴史書であり建築解説書でもあるという本書の性格上、 ほぼ5世紀にわたる歴史の流れを追う必要があるのに加えて、 数多くの建築物が次々と(しかもかなり詳しく)紹介されるため、 予備知識がないと細部がなかなか頭に残らないせいではないかと思う。 ところが、塩野氏の著作で基本的な流れやローマの都市像を押さえていると、 初めて読まされる内容というのはほとんどなく、個々の出来事に対する解釈の違いや 塩野氏の著作では語られなかった細部に集中して読み進めることができるので、 (全体に、塩野氏は先行業績に大胆に異を唱えようとする傾向が強いのに対して、 本書の著者は学者だからか、比較的オーソドックスな書き方をしているようだ。) ローマ史に対する理解をさらに多面的なものに深められるという利点があるように感じた。
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