後醍醐天皇による討幕運動を発端とする南北朝の内乱を、天皇の皇子達の動向より南朝の政治・軍事の動きを考察する。
戦前の皇国史観により、詳細な研究が不可能な上に南朝史観による阻害で、南朝の歴代天皇、即ち後醍醐天皇の息子たちの詳細な動きがはっきりとしなかった。著者は戦前の研究の上に加味し、改めて南朝の皇子達の活躍と挫折を表している。護良親王による足利尊氏や、父親後醍醐天皇との対立など皇族同士の抗争と室町幕府内部の対立が、南北朝抗争を激化させてしまう。また南朝方も村上天皇の即位以降ジリ貧になるなど、皇子達が諸国を彷徨う状況など詳細に描いている。
評者は中公新書時代の本を読んだ上での感想であるが、現在での南北朝の研究も進んでいる上で読んでも遜色がない。南北朝研究の良書である。