近所の本屋さんでさりげなく平積みにされており、思わず手に取って買ってしまったのですが、買ってよかった、読んでよかったです。何が良かったかって、文章がとりわけ良かったです。
「流れる」というのでは決してないけど読みやすく、硬派で確かな感じのする文体です。
家族についての短編が4つ入っているのですが、その家族の面々を描く作者の目と距離感が絶妙です。家族を構成する父親、母親、弟。彼等がどんなルールにつき動かされて生を営んでいるかということを筆者はまず捉えた上で彼等と対していくのですが、それが冷静でいて決して冷たくはなく、あるがままに受け入れているようで、そうでもなく、やはりどこか第三者的で…といった具合に絶妙なのです。ラスト一編、ますます老いる父親を描くところは凄みさえあります。
長年、個性的すぎる親に頭を抑えられてきたと思っている方や、自分の親の老いをみて何だか寂しくなり、親の老いを受け入れがたく思っている方、そろそろ親の面倒をみなくちゃな…と思いはじめた方や親の介護をはじめた方などが読むとかなりぐっとくると思います。