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百鬼夜行絵巻の謎 (集英社新書ヴィジュアル版)
 
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百鬼夜行絵巻の謎 (集英社新書ヴィジュアル版) [新書]

小松 和彦
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容説明

新発見の絵巻をオールカラーで本邦初公開!
2007年夏、それまでの定説を完全に覆す画期的な絵巻が発見される。そして著者は、内外に知られる「百鬼夜行絵巻」すべてを精査し、その成立と系統の謎を解明していく。

内容(「BOOK」データベースより)

二〇〇七年七月、画期的な絵巻「百鬼ノ図」が発見される。この新発見の絵巻の登場によって“謎”だらけといわれてきた百鬼夜行絵巻のミステリーが一気に解け、これまでの定説は完全にくつがえることになったのである。著者は、国内外にある百鬼夜行絵巻の伝本六十余の画像をすべて収集、それらの詳細な分析により、絵巻の成立と系譜の全容の解明をはたす。この発見と研究のプロセスを収録した本書は、妖怪研究第一人者による、百鬼夜行絵巻研究の決定版である。本邦初公開の「百鬼ノ図」をはじめ、初紹介の伝本多数をカラーで掲載。

登録情報

  • 新書: 256ページ
  • 出版社: 集英社 (2008/12/16)
  • 言語 日本語, 日本語
  • ISBN-10: 4087204723
  • ISBN-13: 978-4087204728
  • 発売日: 2008/12/16
  • 商品の寸法: 17.4 x 10.8 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 馬場伸一 トップ500レビュアー
形式:新書
日本のアニメーションが世界を席巻した90年代、欧米で「どうして日本人は、かくも豊かなイメージを持てたのか?」という議論が盛んに行われた。その中で有力なもののひとつが「非キリスト教的伝統の存在」である。キリスト教がヨーロッパを制覇したとき、土俗の信仰は抹殺され、そのイメージも同時に葬られた。トールキンが再興したエピック・ファンタジーは、ヨーロッパの辺境でかろうじて生き残ったケルト信仰や北欧信仰のイマジネーションに、大きく依拠している。(このへん事情はイスラム教においても似たようなものらしい。)

そういう「一神教による土俗信仰の圧殺」から無縁であった日本人は、中世から千年以上の長きにわたり、自由自在に想像力の翼を羽ばたかせることができた。本書を読むと、百鬼夜行絵巻という、実に美しくも凶々しいイメージがどのように生み出され生成発展してきたかが、美しい図版によって実によく分かる。優れた絵師のイマジネーションが、受け継がれ、工夫され、発展していくさまが、それこそ絵巻物を見るように生き生きと語られている。

筆者は「幻想・妖怪物語」の継承者として水木しげるや宮崎駿を挙げているが、現代ポップカルチャーの中にはもっと直接的な百鬼夜行図の継承者がいる。東映の「仮面ライダー」や「戦隊もの」における怪人たちである。彼らは、動物、魚介類、植物、器物を擬人化した「異形の者」であるという点で、百鬼夜行図の実に直接的な子孫なのである。

本書は現代日本の誇るポップカルチャーが生み出された「源流」を眺めることができる、とても楽しい本である。
私たちのご祖先様の闊達自在なイマジネーションを、大いに楽しませてもらった。
このレビューは参考になりましたか?
10 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
絵巻の系譜 2009/1/31
By 志村真幸 トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
形式:新書
「集英社新書ヴィジュアル版」の一冊。
 冒頭に問題の「百夜行絵巻」の全巻がカラー写真で収められているほか、全頁がカラー印刷で、膨大な数の写真・イラストが入っている。豪華で綺麗な本だ。そのぶん1200円と、新書にしてはやや高めだが…。
 タイトルからすると、一般的な百鬼夜行についての解説本かと思うが、そうではない。2007年に著者の勤める日文研が思*閣から購入した、新発見の絵巻を分析する研究書という色合いの強い本なのだ。
 発見された百鬼夜行絵巻は、従来の研究史を覆す画期的なものであった。これまでは大徳寺・真珠庵本が百鬼夜行絵巻のスタンダードとされ、それを源泉に東京国立博物館本をはじめとする多くの絵巻が生まれたとされてきた。しかし、新発見のものは真珠庵本よりも古いもので、「百鬼夜行」の成立過程をまったく新たに描き直せる可能性が出てきたのである。
 この新しい視点から全国に残る数十点の百鬼夜行絵巻を分類しなおしていく。モチーフ、詞書の有無、登場する妖怪、登場の順番などを比較照合することで、新旧・系譜を決めていくのである。
 研究の手順が分かり、おもしろい。
 そして最後には百鬼夜行絵巻の体系全体が刷新される。研究史のターンポイントであり、偉大な仕事といえよう。今後の研究への示唆も多くなされており、これからが楽しみだ。
 不満としては、個々の妖怪の紹介・分析が甘い点。そのため一般の妖怪愛好家には物足りないかも知れない。
 とはいえ、非常に美しい本であり、眺めているだけでも楽しいと思う。
このレビューは参考になりましたか?
2 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 紫陽花 VINE™ メンバー
形式:新書|Amazonが確認した購入
一般に「百鬼夜行絵巻」と呼ばれる妖怪絵図は複雑多岐に渡る上、「付喪神絵巻」との関係も不明であり、その系統はハッキリしていなかった。従来は土佐光信画の真珠庵本が系統の中心にあると考えられていたが、著者は日本文化研究センター所蔵の「百鬼ノ図」(以下、日文研本)を発見した事をキッカケに系統の解明を図った。本書は、その研究の過程を論理的に綴ったものだが、ミステリの謎解き風興趣と、作中に豊富に散りばめられた魅惑的カラー挿図が読者を惹き付ける。私の様な妖怪ファンにとっては堪らない内容。

上述した通り、従来は「真珠庵本」を中心に系統が考えられており、更にその「真珠庵本」が「東博模本」の部分集合である事と年代考証から、次のような系統になると考えられていた("模本"は模写した結果の本、"祖本"はその基になった本)。

東博模本祖本→東博模本→真珠庵本→その他の絵巻

しかし、「日文研本」の発見によって、「東博模本=真珠庵本+日文研本」の関係が成り立つ事が判明し、しかも真珠庵本・日文研本の祖本が東博模本祖本より古い可能性が出て来た。つまり、次の図式が成り立つ可能性がある。

日文研本祖本→日文研本→東博模本祖本→東博模本
真珠庵本祖本→真珠庵本-↑

第三章で詳しい論考がなされるが、精緻かつ論理的なもので、「百鬼夜行絵巻」論争にはほぼ決着が付いた感がある。第四章では、更に妖怪イメージ図誕生の秘密まで考察している。正直言って、私は学術的興味を持たない単なる妖怪馬鹿なのだが、作中の絵図の生々しい迫力には打たれた。大胆かつ繊細な色使いと筆使い。中世の人々の畏れ、諧謔、発心等の豊穣な息吹が伝わって来るようである。妖怪・歴史マニア垂涎の書。
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