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百鬼夜行の見える都市 (ちくま学芸文庫)
 
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百鬼夜行の見える都市 (ちくま学芸文庫) [文庫]

田中 貴子
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

「鬼」とは、「百鬼夜行」とは、そもそもいったい何だったのか。古代末から中世にかけて、王都・平安京に頻発した「百鬼夜行」という怪異現象を手がかりに、都市と王権が宿命として抱え込まざるをえなかった闇の領域を凝視し、目に見えない「心の鬼」が、可視的に形像化されていくプロセスに大胆に迫る。著者の視線の行き着く先は、民俗学的研究、国文学的研究を遙かに超え、都市のメカニズムや現象を生み出した人々の心性にまで及び、従来の「定説」の枠組みそのものまでを無化する画期的な論考。図版多数収録。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

田中 貴子
1960年京都府生まれ。奈良女子大学文学部卒業。広島大学大学院博士課程修了。博士(日本文学)。現在京都精華大学人文学部助教授。専攻:中世国文学、中世宗教文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 306ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2002/12)
  • ISBN-10: 4480087311
  • ISBN-13: 978-4480087317
  • 発売日: 2002/12
  • 商品の寸法: 14.6 x 10.4 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By まげ店長 トップ500レビュアー
形式:文庫
どうしても百鬼夜行というと、妖怪達の練り歩く「絵面」や陰陽師から先に入りがちです。
実を云うと購入した当時は私もこの2つが目当てで購入したのですが、それから5年程経って
ようやく本書の価値に気づき始めています。
図版多数と案内にはありますが、いわゆる「百鬼夜行絵巻」だけに興味の在る方は、他の本から入る
方が無難だと思います... (白黒で単行本ですから、どうしても限界があります)
百鬼夜行絵巻―妖怪たちが騒ぎだす (アートセレクション)とか...

どういう背景で百鬼夜行というモノが生み出されたのか、その真実に近づいて行くのが本書の楽しみです。
私は読み進めるのに、「京都の大路小路―ビジュアル・ワイド」と併読します。
どうしても京都在住でない方は、大路小路の知識が無いので頭の中に当時の京の様子をイメージできません。
例えば第3章を読むと、もう平安末期では京も荒廃しており大内裏でさえも屍人があふれる荒野と化していたとか!
地図が在れば、羅城門で屍人が溢れていても(「羅生門」)何もおかしくないなぁ...とか思えてきます。

第4章では百鬼夜行の正体?、第5章では式神、第6章では付喪神、第7章では百鬼夜行絵巻の解説...と続きます。

百鬼夜行も時代によって色々と出てくる妖怪等が異なってきたり背景が異なってくるようですが、本書は平安末期に
描かれた百鬼夜行を対象にしています。
奥が深過ぎです。

第5章の式神のところで、気になって探したのは
 京都人権歴史紀行
 被差別部落一千年史 (岩波文庫)
の2冊です。
これでようやく平安時代の百鬼夜行が包括的に理解できそうです...
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 紫陽花 VINE™ メンバー
形式:文庫
「「怪異=鬼」を通して平安京・京都を読む」と言うコンセプトの本。私は小松和彦氏「百鬼夜行絵巻の謎」中で本書が言及されていたのがキッカケで手に取った。即ち、本書は小松氏の「日文研本」発見以前に執筆されている点を留意すべきである。

第一章の「心の鬼」の説明は新規性に欠け、採例・解釈も恣意的・情緒的で無い方が良かった。第二章以降で「百鬼夜行」に焦点が絞られる。「百鬼夜行=恐怖の共同幻想=<都市>伝説」と言うのが骨子らしいが、「今昔物語」、「宇治拾遺物語」等の怪異譚を、これも恣意的に解釈しただけで、学問的裏付けがあるとは思えない。本書の性格が学術的論文なのかエッセイなのか曖昧なのである。第一、平安時代の京都の市中は死体で溢れ、清水寺や鴨の河原は死体捨場の名所だった筈だ。これが京の人々の死生観や地獄観に影響を与えない筈は無い。現在でも、「化野と言えば京都」なのである。著者の論は文献の中で遊んでいるだけで、実が無い様に思われる。また、「百鬼夜行絵巻」の対象を「付喪神」と断じているが、これも学術的根拠は無く、関係に不明点はあるものの、「百鬼夜行絵巻」と「付喪神絵巻」の二系統があると考える方が自然である(小松氏の著書参照)。肝心の「絵巻」を切り離した「百鬼夜行」が何を指すかも明確でない。怪異現象の発信源を指している様だが、用語・概念の定義→命題の設定→証憑を用いた証明→結論と言う演繹的手法が採られていないのである。式神の導入の仕方も牽強付会に過ぎる。

「百鬼夜行」の世界を都市の成り立ちや庶民感覚から考察すると言う観点は悪くないと思うが、「絵巻」を切り離した途端、庶民の息吹が感じられなくなり、著者が「今昔物語」等の文献から感じる心性の問題と化してしまった。そして、内容は殆ど陰陽道を背景にした<王権>崩壊による廃虚都市論なのである。安倍晴明人気にあやかった本との印象を受けた。
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18 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
二章のタイトル幻視する<都市>。この本を構成している七つの章の中の一つだが、この言葉がこの本の内容つまり百鬼夜行とは何かをよく表している。差別、人間の心などの平安の闇など多角的な視線を用いて百鬼夜行は都市でしか見えないという結論を導きだした。信憑性を持った結論には多くの人が納得されたのではないか。

また、この本が妖怪ブームに乗じて売れる説話の翻訳と一線を画すものになっているのは、説話文学が専門の著者が自身の分野で培ってきたもので一つの土台をつくり、この土台が腰の強いしっかりしたものであるからこそ可能なのだが、定説に疑問を投げかける形で百鬼夜行を解き明かしている。積み重ねたものが新しい論を生み努力というとありきたりだが、ストイックで生産的なこの本を生みだした平安の闇に思いをはせ、また闇を生み出した人間の心は生産的なのか・・・なんて蛍光灯とパソコンの光を浴びながら考えました。

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