本作のアルバム・タイトルは『A Foot In The Door』ですが、このイディオムの意味を調べてみてください。調べてみると、これは訪問販売の際に営業マンが使うテクニックの事を指して言います。
"Foot in the Door"という言葉は、ドアに足を踏み入れた状態で、 営業で訪問した人が、「ちょっと話だけでもいいですか」と足を踏み入れるように、 「話を聞くだけ」「ほんの数分だけ」といって要求を求めることを表しています。
もちろんこれは、相手が受け入れやすそうな負担の小さい要求でなければいけません。
それを考えると、本作の趣旨も自ずと理解出来ると思います。
ピンク・フロイドに強い興味を持ち始めた人なら、オリジナル・アルバムから入っても問題は無いでしょう。しかし、「有名だし、一応聴いてみるか」程度の興味しか持たない人が、例えば初期のアルバム(特に『神秘』や『ウマグマ』)をいきなり聴いて、フロイドの魅力が理解出来るでしょうか。名盤の誉れ高い『狂気』や『炎〜あなたがここにいてほしい』を真っ先に聴いて、『アニマルズ』や『おせっかい』、『ファイナル・カット』まで突き詰めて聴こうと思うでしょうか。
なんとなく聴いてみて、すんなりとフロイドの世界に入っていけて、さらにもっとフロイドを深く知っていきたいと思う様な人が増えれば、本作の存在価値も非常に大きなものと言えるんじゃないでしょうか。ピンク・フロイドは既存のファンだけのものじゃない、新たな世代にも語り継がれて行くためにも、本作は非常に意味の有る作品だと思います。
ディープなフロイド・ミュージックをドライブなどで気楽に聴いたりなんかするのにも、なかなかの優れものですよ。ビートルズの『1』の様な感じで。(それを言うと、『エコーズ〜啓示』は『赤盤』『青盤』か?)どっぷりとハマりたい時にはオリジナル・アルバムを聴けばいいのですから。