カーソン・ライダー刑事シリーズの2作目である
デス・コレクターズ (文春文庫)が非常に完成度の高い作品であったため、
遡って1作目である本作品を読んでみました。
物語の舞台は、アラバマ州モビール市。
プロローグは、緊張しながら検死に臨む病理学者コールフィールドの描写。
この検死室内で、ある事件が勃発します。
そして、舞台はパーティー会場へ。
ここから、採用3年目の若き刑事、カーソン・ライダーが登場するのですが、パーティー終了後、事件が発生。
市内の公園で、男性の死体が発見されたのです。
死体は頭部が切断され、ある部分に意味不明な文字が書かれているという不可解な状況。
やがて、第2、第3の殺人事件が発生していきますが…。
この作品の最大の特徴は何といっても、
「なぜ死体に文字が書かれていたのか?」という謎に対する「唖然とさせられる真相」でしょう。
ミステリの愉しみの一つは、「よくこんなことを考えつくものだ」という驚きを味わうことだと思いますが、
その愉しみを味わえるのが本作品です。
本書の巻末の「謝辞」には、妻とふたりの子どもがささえになって本作品が生まれたとありますが、
作者はこのネタをどうやって家族に説明したのだろう?
そんないらぬ心配をしてまうほど、「……」な真相が物語の最後に待っています。
もっとも、本作品がアイデアだけが取り柄のものではないことは、
2作目の成功が示すとおりで、小説としての完成度もなかなかのものです。
ライダー刑事の若さゆえの仕事や生い立ちに関する苦悩、新人の病理学者アヴァ・ダヴェネルとの恋物語など、
青春小説的な要素が取り入れられていて、サイコ・サスペンスなのに、爽やかな印象を持てるところは、作者の技量の高さを窺わせます。
小説としての完成度は2作目の方が上ですが、
強烈なインパクトを持った、デビュー作に相応しい作品と言えるのではないでしょうか。