東雅夫編でちくま文庫から出ている「文豪怪談傑作選」の特別篇。
明治時代に実際に行われた(らしい)百物語・怪談会の記録を採録したもの。
もとになっているのは、明治42年に出た『怪談会』(柏舎書楼)、雑誌『新小説』の明治44年12月号の特集「怪談百物語」の2つ。
『怪談会』は、明治41年7月に向島で行われた「化物会」をもとに編まれた本であるらしい。「怪談百物語」については詳しいことは分かっていないようだが、こちらも現実の会合をもとにしているようだ。
いずれも泉鏡花と周辺の著名人が集まったもので、『怪談会』には岡田三郎助、小山内薫、鏑木清方、柳川春葉らが、「怪談百物語」には柳田国男、水野葉舟、石橋臥波などの名前が並んでいる。
参加者が語った怪談の合計69篇が収められている。語ったそのままの口調であり、雰囲気が伝わってくる。江戸〜明治に盛んに行われたという百物語の雰囲気がそのまま伝わってくるようだ。
話の内容はさまざま。自身の体験談っぽく語られているものが多く、当時の世の中はこれほど奇異なことで溢れていたのかと驚かされる。ただし、「恐さ」という点でいえば、パッとしないような。話としての面白さもいまいち。そのなかで柳川春葉の話は秀逸。小説家ならではの冴えを感じさせられた。
また、誰かが死んだとき、遠方の親戚や友人のもとにあらわれるというタイプの話が随分とたくさん収められている。これなど、社会史・民俗学的に研究してみると面白いのではないか。