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13 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
無垢な少年少女たち,
By phys (千葉県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 百瀬、こっちを向いて。 (祥伝社文庫) (文庫)
装丁が美しく、目について購入しました。初めて読む作家さんですが、どうやら新人の方らしいです。 (みなさんのレビューからすると覆面作家?) 短編ごとの感想を。 『百瀬、こっちを向いて』 幼馴染の先輩に頼まれて、強気な女の子百瀬と恋人のフリをすること になった主人公ノボル。「偽装恋人」から恋が始まります。二人の心 に芽生えていく感情。その移り変わりがたまらなく愛しいです。叙情 的で端正な語り口、ひらがな交じりの文体が穏やかな気持ちにさせて くれる作品でした。 『なみうちぎわ』 海の事故で植物状態になった少女が、五年の歳月を経て目覚めた場面 から物語は始まります。回想から、少年の家庭教師をしていた彼女が 事故に至るまでの経緯が少しずつ明らかになり、見えてくる真実…。 伏線の引き方も上手ですし、ライトなミステリーという印象でした。 静かで、情景が浮かぶような描写力に脱帽しました。 『キャベツ畑に彼の声』 親戚から貰ったテープ起こしのアルバイトを通して、国語教師の覆面 作家としての顔を知ってしまった少女の物語。これは伏線の巧妙さに 唸りました。そして何よりキャベツ畑の描写。これが主人公の内面と リンクして、少女の恋心を瑞々しく印象付けています。爽やかな結末 にも納得です。大変優れたストーリーテラーだと思います。 『小梅が通る』 タイトルから少し古風な印象を受けますが、実際の内容は少年少女の 真っ直ぐなラブストーリーです。この短編で最も特筆すべきは奇抜な 「設定」ではないでしょうか。ここで語ることは野暮なのでしません。 過去に親友と信じていた同級生から投げかけられた言葉。それに縛り つけられた彼女がそれを乗り越えていく姿にほろりと涙が零れました。 コメディタッチの書き口も絶妙です。素晴らしい、の一言に尽きます。 全体として、非常に完成度の高い作品群だと思いました。新人という よりは相当なレベルにある作家があえて平易な文章で書き切った作品 だと思います。無垢な恋の目覚めは、子供に読ませる絵本のようです。 大満足でした。
5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
後悔,
By
レビュー対象商品: 百瀬、こっちを向いて。 (ハードカバー)
もう後悔しかない。この作品は派手ではなく、不幸でもない、どちらかと言えば地味で、なお且つ強いて言えば幸福な作品が詰まっています。 学生時代にこの本を読みたかった。 中田永一さんのようにありふれた日常の中に温かいエッセンスを見いだせなかった自分が悔しい。 この本を全篇読めば間違いなく、日常の見方が変わってくる。 その一瞬は一度しか訪れないことを、改めて痛感させられた一冊。
10 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
多くの人に手に取って読んでもらいたい小説,
By 砂上の楼閣 (東京都目黒区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 百瀬、こっちを向いて。 (ハードカバー)
何年か前に、恋愛アンソロジー「I LOVE YOU」の中の1作品として、表題作の「百瀬、こっちを向いて。」を読みましたが、正直あまり 記憶に残っていませんでした。 今回の単行本化にあたり、表題作を改めてじっくりと読み返してみたの ですが、じーんと心にしみる良い作品だと思いました。 作品の評価が高いのも頷けます。 表題作を含めて4作品の短編小説集(高校生の恋愛小説)となって いますが、どの作品もそれぞれに味わい深く、私好みでした。 (人によって感じ方は違うと思いますが) 「なみうちぎわ」と「キャベツ畑に彼の声」は、静謐であり、印象的で、 物語の中にいることが心地いいです。 書下ろしの「小梅が通る」は、ちょっとコメディータッチで、痛快で 面白かったです。 久し振りに次回作も読んでみたいと思う小説家の登場に心から喜んで います。 ぜひ多くの人に手に取って読んでもらいたい小説です。
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