「ぞうさん」などの作品で知られる「まど・みちお」の、「100歳の述懐」である。「ぞうさん ぞうさん おはながながいのね そうよ かあさんも ながいのよ」。「ぞう」に仮託された親子の信頼と情愛の世界が見事な透明感に満ちた言葉で表現されている。そしてよく考えると、この詩は「鼻の長さ」をからかわれた象の子どもの見事な「反撃」であり、「象が象であることの肯定」ともとれる。言葉の無駄のない完璧な作品でもある。
この本には、その詩人が100歳になり、病院生活のなかで口述筆記した文章と、若いときから独自の世界を表出してきたスケッチがおさめられている。
詩人は、少しとぼけた口調で、近況を語る。しかし、その言葉は、自由闊達でありながら独特の重さを持っている。
「マンネリになってはいけません。人の物真似をしたらおしまいです。私も、ときどき、「まど・みちお」の真似をしていることに気がついてはっとします」
100歳になっても、少年の心を失わない一人の詩人がいる。