第八巻は、神話の国山陰地方から始まりました。最初の巡礼寺は、三佛寺投入堂です。崖をくり抜いたような場所にあり、容易に人が近づけません。時にフランスのモン・サンンミシェルなど何故、どうやってこんな場所に作れたのだろう、と想像を絶する建築物に出会うことがありますが、まさにそれです。生前ここを訪れた司馬遼太郎さんは、あきらめて戻られたそうですが、五木さんは辿りつかれました。もし行くなら元気なうちに、などと考えながら読み進めました。そして大山。山自体が神聖なものとして長い間一般の人は立ち入り禁止だったそうです。鳥取、島根と西に進み、山口県で折り返し広島に戻ってくるルートです。五木さんは、中国地方のお寺を廻られて、建築物の素晴らしさを記されています。14世紀から16世紀の国宝建造物は、中国地方に集中しているそうです。これは当時京都は戦乱の最中で、技術者が戦乱を離れて中国地方にやってきていたのだそうです。腕自慢の技術者は都ではしがらみがあってできなかった自由奔放なアイデアでもって設計を行います。その結果中国地方には、都とはまた趣の違う立派なお寺が残されました。お寺に詣でる楽しみの一つは、日常の喧騒とは違った空間に身をおけることでしょう。何百年かの風雪に耐えたお堂が目に入った瞬間、今を忘れることもしばしばあります。中国地方のお寺は、塔が魅力のようです。