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百億の昼と千億の夜 (ハヤカワ文庫 JA (6))
 
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百億の昼と千億の夜 (ハヤカワ文庫 JA (6)) [文庫]

光瀬 龍
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)

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登録情報

  • 文庫: 439ページ
  • 出版社: 早川書房 (1973/04)
  • ISBN-10: 4150300062
  • ISBN-13: 978-4150300067
  • 発売日: 1973/04
  • 商品の寸法: 15 x 10.8 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 285,722位 (本のベストセラーを見る)
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By shiraz
生まれてきたのはいいけど、なんだってこんな目に合わなきゃいけないのか?などと思うような経験なら、誰だって子供の頃から数限りなくあるでしょう。
そこでふと目を外へ向けると、世界の悲惨さ、弱肉強食の自然の厳しさ、そういうことが目についてイアン・カラマーゾフじゃなくたって、こう言いたくなるはずです。「この世界を神が作ったんなら、天国への切符はつつしんでお返しする。こんな悲惨なことが必然的に起こらなければいけないことなのだとしたら、例え未来の楽園が約束されていたとしても、自分は到底受け入れることができない」と。
作者の光瀬龍にもそんなドストエフスキー的な懐疑や怒りがあったのかもしれませんが、この小説はそんな怒りや悲しみをSFで表現するところから始めたように思われます。

この小説では、世界あるいは宇宙そのものが悲惨を通り越して破滅に向かって、静かにしかし確実に進んでいきます。誰にも宇宙の終焉を止めることができません。破滅していく世界の中で、この小説の登場人物たちはとても哀しい。夜空を見上げながら、いつか神様が助けにきてくれるだろうか、と哀しい期待を夢みるようにつぶやきます。 今も現実の世界のどこかで同じことをつぶやいている人たちがいるように。
でも神はやってきません。何故か?その答えがこの物語の核心部分なのですが、主人公の3人たちによってその答えは暴かれていきます。
そしてその答えによって導かれた壮大なイメージこそ、この小説の最大の魅力です。タイトルの「百億の昼と千億の夜」という言葉が持つ意味も、そこにあります。そうしてこの小説を敷衍してみた時に、出だしから終わりまで小説全体がこのイメージを描こうとしていたことに気がつきます。

この本を読んだ後で誰もが言うように、壮大なスケールに暫く呆然とするというのは決して誇張ではないのですが、それは無限と永遠を前にして立った時の自分という個人が、果てしのない壮大な世界や永遠という時間に対してあまりにも小さく、その底知れないギャップに気がつき、愕然とするからでしょう。
その底知れないギャップには、「百億の昼と千億の夜」というイメージとあいまって、読者に美しくも哀しい気持ちと、永遠なものに憧れる敬虔な気持ちとをひきおこす、不思議な作用があるようです。

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21 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
 一度読んだだけでは理解は無理。それでも読了後に受けた圧倒感は忘れられない。それほどの時間的空間的な壮大さ。そして20年近くたつ現在でも残る無力感。それほどの濃密で深い内容。
 なぜキリスト教や仏教は悲惨な未来を示唆するのか。神とはか。弥勒とは。そもそもこの宇宙は何なのか。
 これぞまさに日本SF会の金字塔。時間をかけ何度も読みなおすつもりでぜひ。
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43 人中、34人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
金字塔 2005/10/29
萩尾望都の漫画版と話の大まかな筋は同じだが、異なる点も多く見られた。例えばプラトンがある村で気絶し、オリオナエとしての人生を疑似体験するときのくだり。息子とそのいいなずけとの会話が漫画版にはあるが原作にはない。漫画版ではこれがきっかけで未来のTOKYOCITYで、ディラックの海からの脱出の際に必要な超高エネルギーを生み出すオリハルコンを、息子に似た若者の亡骸に与えてしまう。また、ユダの扱いが大きく異なる。
原作ではイエスの弟子としてではなく、一度イエスと論じたことのある学者という設定であり、ユダの裏切りはすべて超越者の意の中にあったという底知れぬ恐怖は原作には見られない。ZENZENCITYにも姿を現すことはない。また、アスタータ50の場所も異なる。などであろうか。
これらの点を考慮しても、この小説の価値は下がるどころか漫画版とはまた違う感慨、読後感を読者にあじあわせる。「寄せては返し、寄せては返し、返しては寄せる波の音は、何億年ものほとんど永劫に近い昔からこの世界をどよもしていた」という言葉から始まる本作は、類稀なるスケールの作品だ。阿修羅王とシッダールタ、プラトンが世界の異変の原因を突き止め、それを食い止めるために時空を超えた闘争をするというのが大まかな流れだが、それはまた、人類が太古より挑んできた根源的な謎と密接に関係している。それはわれわれの世界はどのようにしてはじまったのか、そして生命が誕生し、知的生命体を出現させる過程の不透明さである。恐ろしいほど精密な機構により構成されているわれわれの体や、森羅万象の出来事にきれいな数式が適応されるこの世界が果たして文字どおり自然に、勝手にできたのであろうか。そこに何か超越者の存在を感じ得ないのではなかろうか。本作は、その超越者を非常に人間的に描く。地球の発生、生命の進化は惑星管理委員会という名の集団による実験にすぎないのである。宗教の発生も然り。これら人類が知能をもち、いずれ自分たちにはむかうものがでぬようにマインドコントロールをし、自分たちの存在を神として認知させる。しかし、これは同時に人類の滅亡をもっとも合理的にするための手段としての機能も果たした。即ち、仏教における弥勒菩薩の伝記「56億7千万年後に地上に現れ、人類を破滅する世界から救う。」またキリスト教の最後の審判という発想がそれにあたる。どんな宗教にも破滅とそれにたいする救いの予言がある。ではなぜ神はその前に姿を現し破滅から守ってくれないのか。そう考えたものたちはすべてに気づきこのおおいなる神に戦いを挑むのであった….。しかし結局宇宙全体の熱エントロピーは増大しつくし、宇宙全体は熱力学的な死をむかえる。完全な熱平衡と化した宇宙にただ一人生き残った阿修羅王は、彼岸に住む超越者との戦いのためにこの先も数百億の昼と夜をこえていくのだ。救いのないラストではあるが、人間の、そして宇宙の根源という壮大なストーリーにやりきれないせつなさ、無常さをおりまぜた本作は日本SFにおいて他の追随を許さぬ傑作である。
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最近のカスタマーレビュー
萩尾望都の漫画よりも難解だけど、やはり原作に漂う虚無感がいい
この前、久しぶりに萩尾望都の漫画版を読んで、どうしても原作が読みたくなったので、25年ぶりぐらいに読んでみた。... 続きを読む
投稿日: 2009/10/24 投稿者: hamachobi
すごい作品に出会ってしまった。
すごい作品に出会ってしまった。まだ20代の時だった。あれから何度も引っ越したが、この本はいつも一緒に移動している。... 続きを読む
投稿日: 2009/8/7 投稿者: ポチR
忘れられない一冊
この小説を初めて読んだのは、20数年も前の中学生時分のこと。

しかし今でもこの本を読んでいた時の周囲の情景や自身の感覚は、... 続きを読む
投稿日: 2008/2/25 投稿者: #5
何が驚いたかって
何が驚いたかって、この本の評価がアマゾンで星四つだったことだが、下を見てなっとくした。漫画の方は五つ星... 続きを読む
投稿日: 2007/9/9 投稿者: むいむい
残念、私の求めるSF像とは合わなかったようです。
この物語は SF 風味なのかも知れませんが、SF とは違う気がします。
稀有壮大と言えば言えるのかも知れませんが、神話であってSFではない... 続きを読む
投稿日: 2007/6/24 投稿者: anon-g
宗教に興味を持ったきっかけ
 漫画から原作にたどり着いて本書を読んだのは高校時代のことだった。

 それまで宗教というものを真面目に考えていなかったこともあり... 続きを読む
投稿日: 2007/6/3 投稿者: くにたち蟄居日記
娯楽大作としての顔
皆さん、名作だからって難しく考えすぎではないでしょうか。... 続きを読む
投稿日: 2005/4/28 投稿者: kaiser11
SFで神に迫る
地球誕生から人類滅亡後、さらには宇宙の消滅(?)まで、アトランティス、ゴルゴダの丘から宇宙の果てまで、阿修羅王、シッタールタ、イエス、プラトンと言った登場人物など... 続きを読む
投稿日: 2003/7/5 投稿者: 江口哲学
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