ちょっとしたことで前科者になってしまった佐藤鈴子。
家庭内での自分の居場所を見つけられなくなった彼女は、
百万円を貯めたら家を出て行くことを家族の前で宣言し、そして実行する。
鈴子も含め、この小説には臆病な性格の持ち主が何人か出てくるが、
自分も臆病な性格なので、共感できる部分が多々あった。
鈴子が前科者になってしまった経緯もそうだが、
些細な行動で、人間の運命は良くも悪くも変わってしまう。
言葉も同じ。ちょっとした一言であっても、人生を動かす力を持っている。
こう書くと、重いテーマを含んだ固い作品のようにも思えるが、
実際は軽く読めてなかなか楽しい。地の文でもクスッしてしまう部分もある。
この作品のラストはもしかしたら賛否が分かれるかもしれないが、
自分はこの終わり方で良いと思った。