見開き3枚、6ページでひとつの短編が108編ならぶ作品集だ。作者はこのような形式が好みのようで、過去に『千日の瑠璃』や『貝の帆』など、同じようなスタイルの作品を書いている。それらと本作が異なるのは、前者が短編をつむいで大きな長編小説となっているのに対して、本書はひとつひとつが関連のない、独立した物語となっている点である。
作品のテーマとなっているのは生老病死や人生の厳しさ、辛さ、それに反戦などである。全体に共通しているのは、思うにまかせない人生を歩んでいる者が、世を拗ねた視線で社会を見ているのだが、あることをきっかけにして、生きなおしていく物語と、自分らしく尊厳をもって自死する、破滅の美学である。
内容は重いが、すばらしい水準の作品である。