原題は Tales from White Hart。Hart は鹿。実際に白い鹿は存在します。さて、ロンドンのとある場所に白鹿亭(はくろくてい)というパブが昔あり、毎週水曜の夜には常連が集まっていたそうな。いずれおとらぬ該博な知識とユーモアセンスの持ち主。彼らが披露する奇想天外な物語に、まわりの酔客もつい身を乗り出して...
英語のタイトルが、好奇心をそそる。訳者のセンスもなかなかのもの。ビシッと正統に訳すかとおもえば、思い切った意訳も。
Silent Please
Big Game Hunt
Patent Pending
Armaments Race
Critical Mass
The Ultimate Melody
The Pacifist
The Next Tenants
Moving Spirit
The Man Who Ploughed the Sea
The Reluctant Orchid
Cold War
What Goes Up
Sleeping Beauty
The Defenestration of Ermintrude Inch
この中で、もっともワケがわからないタイトルは最終話ですが、第一話のエッセンスだけ、ご紹介。
ある人物がまわりの騒音を完全に消す消音装置を作る。周波数が同じで半波長ずれた光が干渉で消えるように、音波もこの手を使えば消せるのではないか。で、装置は完成。まわりは無音状態。しかし、しばらくすると突然大爆発が。音は空気の振動、したがって運動エネルギーを持つ。エネルギー不滅の法則にしたがうと、消えた音のエネルギーの蓄積が爆発事件の原因ではないか?
ここであなたが、ふーんなるほど...と思ったら、クラーク先生のゼミでは落第。半波長ずれた音波を作るところで、どこからかエネルギーの借金をしているはず。だから、帳尻は常に合って爆発エネルギーは蓄積しない。と、考えると夜眠れなくなることを防止できます。
他にも、物理学の基本概念がモロにタイトルに出たり、密かに隠れていたり。じっくりと白鹿亭を偲んでください。