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あなたは、他の誰かさんについて、こんな風に思ったことがありますか? もしそうなら、この主人公、ムイシュキン公爵のこともきっと同じように、いや、もしかしたら、その誰かさん以上に好きになるかもしれません。「世界をひっくり返すほどの」美貌と、恐ろしいほど深く傷ついた心をあわせ持つヒロイン、ナスターシャも、公爵に「生れてはじめてほんとの人間を見ました」と告白します...
極端な話ですが、たとえ『罪と罰』と『カラマーゾフの兄弟』がこの世に存在しなくても、ドストエフスキーは、「無条件に美しい人」を描こうとしたこの長編だけで、世界文学史に第一級の天才としてその名を輝かせていたでしょう。超・善人の主人公を中心に、一癖も二癖もある表情豊かな美女達と、彼女たちにすっかり目が眩んだ男達がおりなす、波瀾万丈のラブ・ストーリー。いわく言い難いとぼけた味の脇役達も、それぞれ個性的なやり方で盛り上げてくれます。一体、最後は、どうなるのか? ワクワク、ドキドキして、一度読み出したら途中でやめられない、エンターテインメントとしても素晴らしい作品。それでいて、読者が忘れかけていた、人生にとって大事な何かを、じわぁっと温かく思い出させてくれる力を持った不思議な本です。
あの黒澤明監督が、どうしてもどうしても映画にしたかった、という、この人の心の美しさの極限世界に、あなたも一度どっぷりと漬かってみては如何ですか?
ご存知の通りキリストを想起しながら「無条件に美しい人間」を描くことを試みたこの作品に、作者は「白痴」と名付けました。この作品はタイトルが初めから明らかにしている通りに非常に残酷な物語でもあります。
物語の詳細に触れる必要はないでしょう。とにかく、「無条件に美しい」主人公のムイシュキン公爵はいつでも誠実であり続け、そのために信頼され、同時に失笑を買い、また人を傷つけます。そして、主人公自身も自らの誠実さのために傷つき、最後には文字通り正気を失ってしまいます。
誠実であろうとすることの困難さ、非常識さ。無条件に美しい人間なんて結局は現実世界と相容れないんだという著者の認識と、この救いようのない結末。
しかし、おそらく誰もがムイシュキン公爵を愛さずにはいられないし、またどこかでこうした誠実さを渇望している筈です。おだからこそこの物語が多くの人の心を捉えて離さないんでしょう。
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