私にとってオリジナル・ラブの田島貴男は最高に格好良いオヤジの一人。いくつ齢を重ねてもギラギラした男の色気と少年
のやんちゃさを失わない人。その人柄を映す様に自由に疾走しまくる歌とシャウトにはいつ聴いてもぞくぞくさせられる。
ヒットシングル「プライマル」等で一気に彼の知名度が高まったのももう15年前。それ以降の彼の快進撃は余り世間に知ら
れていないかもしれない。
ブレイク・ビーツ、ヒップホップ、昭和歌謡、スカ、ブルース・ロック…と出す作品毎に音楽スタイルと歌唱法を変えてきた田
島氏、音楽好きとしては次にどう出るか予測できない彼の変遷振りをずっと楽しんできた。その一方「街男街女」〜「東京飛
行」辺りの近作になると音楽の質としては高いものの余りにアクが強い為、敬遠気味だったファンもいたのではないか。
15枚目を数える新作「白熱」では久々に昔の爽やかさとソウル・テイストが戻り、初期ファンや初めてオリジナル・ラブを聴く
人にも入りやすいポップな作品となっている。ここ数作で聴かれた癖の強い歌い方も和らいでいるように感じる。
インディーからの発表となった本作は歌を始め演奏からミックスまでを田島氏一人で実現。音の厚み自体はメジャー・レー
ベルで発表された近作と比較すると安っぽく物足りない部分もあるが、それを補って余りある良い曲が揃っている。
アレンジも曲毎に変化があるものの、こねくり回すことなく素直。下手な小細工無しに歌とメロディ直球勝負で聞かせる。
90年代渋谷系代表だった田島氏とラップグループ・スチャダラパーが共演、二度と帰らない昔を想う言葉にどこか切なさを
滲ませる「カミングスーン」がとても良い。「好運なツアー」での力強いシャウトを聴くと、単に原点に戻ったのではなく、その
声には20年以上になるキャリアの重みが強く刻まれている。(ボーナス・トラック「なごり雪」は田島氏のイメージからすると
意外な選曲と感じたが、正直彼の声で歌われるこの曲がこんなにも心に響くとは思わなかった。)
「ラヴ」から「ラブ」に改名し第2の始まりを感じさせる10曲。最近彼から遠のいていた方も試しに聴いてみて欲しい。