激動の時代を生きた白州次郎の後半生。通商産業省創設、只見川電源開発、そして吉田茂の特
使となり講和条約締結に貢献する。実に多くの仕事をした男である。小林秀雄をして我々は秀
才、彼は天才と言わしめた。この人の魅力は歯に衣着せぬ物言い、自分の信念を貫く精神、
不正を憎み自分のプリンシプルを通す姿勢にあるのだろうか?
この本を通して吉田茂も白州次郎も占領状態の回復を最優先に考えたのであって、決してアメ
リカに安全保障してもらいたいがためにサンフランシスコ講和条約を結んだのではないことが
良くわかる。
只見川の章で出てくる松永安左ェ門のー生きているうちに鬼と云はれても死んで仏となりて返さんー
凄まじい気概である。この時代まだまだたくさんのサムライがいたのだと思うと嬉しくなる。