普通失明といえば光を失い暗黒の世界となる。しかしこの場合ある日突然信号待ちをしているときに一人の男が突然光のみの世界になり、視力を失う。その後彼を助けた(実際は車泥棒となったが)男、彼を治療した医師他どんどん目が光に覆われていく。政府は原因不明の病気対策として患者を元精神病棟に隔離するのだが、満足な食料も与えられず十分なケアを受けられない彼らはやがて人間の欲望をさらけだし、病棟内は地獄の様相となる。
その地獄を唯一見つめることが出来たのが一人の女性、眼科医の妻である。
最初に起こったのは食料をめぐる争い、その後なわばりをめぐり、性欲、排泄しても下水道が完備されておらず、又そのうちどこそことかまわず用を足すようになり、食べ残し(実際はこぼれたもの)の食料は腐り、水も満足になく、まさに生き地獄の中人間としての尊厳をなくし、欲望のままに生きる人々。
やがて盲人社会にもそれを支配しようとするものが現れ...
すべての人が視力を失ったとき、まず食料をめぐり人々はさまよう。
人間の醜い部分を余すことなく描き出した作品であり、寓話的でありながら残酷である。精神病棟に患者を隔離するあたりは鳥や豚インフル他新しい病気の患者の隔離政策に似ている。それは何も解決しなかった。
そして人々は最低の状態になったとき助け合うどころかエゴをむき出しに争う、描かれた生きる為の執着心は人間の根源の心の醜さを見せ付けられたようで非常に悲しく落ちこんでしまった。
この本で描かれている盲目というのは比ゆ的なものだろう。
人間が本当に今の世界を見えているか、もし見えていないのだったらわれわれの生き方は(唯一視力を失わなかった女性が存在するとして、彼女の目から見ればわれわれはこの登場人物たちのようなものかもしれない