中高年登山ブームに火を付け、図らずも(?)数多くの粗雑な登山愛好者を生み出してしまった氏がこのような本を出すことはかねて予想していた。
が、なんとなく遅きに失した感がある。なぜなら、この本で示すような《登山不適格者》は、ほとんどがすでに淘汰されてしまっているのではなかろうか、と思えるからである。あと2年早く出してほしかった、というのが正直なところ。
本書で挙げられる《登山不適格者》は、例えば地図が読めない、山行スケジュールを把握していない、といったイロハのイを知らない人たちのことである。いわゆる山ヤにとっては本当にバカバカしいことしか書いていないのだが、「山は誰のものなのか」「単独行はいけないことなのか」「山のトイレはどうあるべきなのち?」といった山をめぐる今日的課題が新書という限られたスペースの中で多面的に取り上げられており、(氏の見解は別として)評価したい。
それにしても、多くの読者からの反発を覚悟したはいいが、いまひとつ悪人になれない氏。有名人になってしまったがために山で自由になれず、仲間などからいろいろ皮肉を言われることへの愚痴。「ひょっとして自分も登山不適格者なのでは」と思ってしまったところではお茶を濁す。この人もこの人なりに気苦労しているんだなぁ、と感じた。
おっと、同情している場合ではない。
読みながら思ったのだが、問題なのは登山不適格者そのものよりもむしろ、不適格者と知りつつも山に案内するプロフェッショナルのガイドなのではなかろうか。
次作として《ガイド不適格者》の刊行を期待する。