神田橋先生の著書、コツ3部作や治療のこころなどを読み、
神田橋先生が、発達障がいに対してどの様な見解を持ち、治療法を考えているのか、
かなり期待して読みました。
期待が大きかった分、失意も大きく、必要以上に辛辣なレビューとなっているかもしれません。
本書は、発達障がいに関する座談会の起こしとなっている。
精神科医(神田橋氏)
作業療法士(岩永氏)
臨床心理士(愛甲氏) −神田橋氏の弟子
アスペルガーの診断を受けている方(藤家氏)
司会進行役(浅見氏)
という面々がおり、当初は各立場から様々な意見が交わされ、面白い議論になるだろうと期待が高まった。
しかし、各章を通して、
神田橋氏の意見→お弟子さんが讃える/「実際の現場でもそうです」→藤家氏「全くその通りです」→浅見氏「治療者全員が神田橋先生みたいだったらいいのにー」という流れになってしまっており、仮に正しいとしても閉口してしまう。
これなら、神田橋氏の講演(臨床精神医学:2009年3月等)を読んだ方が、早いしわかりやすいと感じます。
発達障がい治療に関して、実績や講演も多い岩永氏と神田橋氏との論議で、
更なる発達障がい理解への掘り下げを期待もしましたが、
なぜか発言が少なく、時々興味深い発言があっても、
他の3人の論議者によって、全く見当違いの話に持って行かれてしまい、話にならないシーンが多いです。
例えば、161ページから
神田橋氏曰く、発達障がい者含め、精神療法の最終目標は遺伝子の開花=自己実現なのだ、と。
それに対し岩永氏曰く、発達障がい者は、自己分析や客観視が苦手なので、自己実現や達成したことに対する満足が生まれにくいのではないか、と返す。
これに対し神田橋氏がまた応えていき、議論が深まっていくかと思いきや、
司会進行役の「茶々」が入り、結局答えらしき答えは見つからないまま、議論は流れていく。
挙げ句の果てに、司会進行役の方が「岩永先生ご自身が、高校のときから作業療法士になりたかったというまっすぐな方じゃないですか。でもそういう方ばかりじゃないですよね。」と発言され、そのままこのテーマは締められていく。
これは悪意のある引用かもしれません。
が、全章を通じて、司会進行役の方の個人的な考えや経験に基づく発言や進行が多すぎる。
この件は一度お読みになられて、ご判断頂きたいと思います。
本書の一つの目玉であろう、神田橋氏の発達障がいに対する治療方法ですが、
身体重視の診断・治療や、漢方も併せたコントロールを行っておられるようで、
感嘆はしますが、トレースは出来ません。
もはや言葉にできない領域なのかもしれませんが、
それは、「治療者・神田橋條治」という大きな目標が、高みに達したことで後を追う者にとって自らのやる気や支えになるものではありますが、
コツ3部作の様に、「指導者・神田橋條治」は本書では垣間見ることしか出来ません。
とは言え、要所要所の発言は目を見張る意見も出てきます。
他にも最終章の養生のコツを取り上げた所は、興味深いです。
基本方針は、精神科養生のコツと変わりませんが、
発達障がい者(全員ではない)に効果があるサプリなどがあり、
早速保護者の方などに薦めてみたいと思いました。