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最も参考になったカスタマーレビュー
90 人中、78人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
いくつかの意味で衝撃的な本である。,
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レビュー対象商品: 発達障害のいま (講談社現代新書) (新書)
著者の杉山登志郎医師には、お会いしたことはないが、これまでの著書や、自閉症者の療育に関する活動で知る限り、日本で十指に入る、 自閉症スペクトラム・発達障害の権威である。近頃たくさん発売されるブーム便乗型の “発達障害本”の筆者とは、はっきりと異なる。 その杉山氏が書いたこの本には、いくつかの衝撃的な事項が記されている。 ・2型糖尿病は、遺伝的因子が多く関わっているが、そのリスクをさらに高めるのが 肥満であることがはっきりと分かっている。その例と同じように発達障害のリスクを 高めるのが「虐待によるトラウマ」だ。これまでは、発達障害児の扱いにくさが のちに虐待やいじめを引き起こすことは知られていたが、この場合は、逆で、虐待が 発達障害の器質的な因子にスイッチを入れてしまうということなのである。 これは衝撃である。かつて自閉症児の母親たちは「育て方が悪かったのではないか」 といわれて苦しんできた。その後母親たちは自閉症は何らかの脳の器質的異常が、 関わっているのであって、育て方の問題では無い。とされ、保護者は大きな安堵を得たのである。 杉山医師は慎重に言葉を選んで「育て方の問題」という言葉は使っていないが、 虐待が後天的なリスク因子となるということは、それを覆すことになるのではないか。 ただし、発達障害児であってもなくても虐待を受けることが精神上よいわけはない ことは明らかではあるので、虐待は発達傷害を悪化させるという意味に読むべきなのだろうか。 糖尿病のたとえで言うと、肥満がなければ2型糖尿病は、発症することがないケースも 多くあるのである。私の誤読なのであろうか。 ・EMDRという治療法の劇的効果。フラッシュバックの治療に劇的効果を示す杉山医師自ら 「オカルティック」だという方法である。 私は、これは専門家の適切な管理下で行うべきだと考えるので、あえてやり方を説明する ことはしない。 ・日本の臨床心理は、大多数が精神分析を基盤とする力動心理学で占められている。(中略) だが、力動心理学で対応できる問題は、実は限られている。認知行動療法のほうが、 適応も広いし安全性も高いと思う。これは同じ精神科医の中の発言としては勇気ある発言 だと思うという点で取り上げた。私も同感である。杉山医師はそうは言っていないが、 精神分析は発達障害の対応には不適切だということである。
33 人中、29人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
果たして、「発達障害」という言葉を使って良いのだろうか?,
By 齊藤祐作 (千葉県印西市<旧・印旛郡本埜村>) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 発達障害のいま (講談社現代新書) (新書)
現代の日本では、「発達障害」という言葉が広く使われるようになっている。それと同時に、これらの特性を持った人達に対する支援策の充実が叫ばれているが、果たしてこの言葉を使って良いのだろうか?この本では、著者の杉山さんが長年の臨床経験から分かった、発達障害の治療に必要なことを細かく記載しているが、確かに発達障害は、当の本人だけでなく、その親も持っていることがよくある。そのことを考えると、母子(または父子)並行治療を行うことは非常に理に叶っていると思う。 ただ、私がそれ以上に衝撃を受けたのは、杉山さんが「『発達障害』ではなく、『発達凸凹』という表現を使った方が良いのではないか?」と、強く訴えていたことである。実際に、日本ではこの本の62頁にも書かれていたように、ネガティブなイメージが根強い「障害」という表現を「障碍」や、「障がい」と置き換えることで、偏見などの根絶を図ろうとしているが、所詮は読み方が変わらないため、当事者(例えば、アスペルガー症候群と診断された挙げ句、療育手帳や精神障害者手帳を取得した上での就職を余儀なくされた人)にとっては屈辱極まりないものである。 これらを考えると、杉山さんの訴えは非常に説得力があると思う。 ちなみに、私が杉山さんの本を読むのは、これが3度目であるが、この本は私が過去にレビューを書いた杉山さんの本(実際に、私は『発達障害の豊かな世界』(日本評論社)と、『発達障害の子どもたち』(講談社現代新書)を読んでいて、尚かつ、このサイトで上記の2冊のレビューも書いている)と同様に、自分の臨床体験や、発達障害に関する最新情報を数多く盛り込んでいると言える。しかも、この本と上記の2冊も併せて読めば、発達障害に対する社会の関心がどのようにして高まって行ったのか、はっきりと理解することが出来る。 だから、私はこの本だけでなく、上記の2冊も併せて推薦したいと思う。
32 人中、28人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
臨床経験に基づいた発達障害に関する最新の知見,
By YOSHI (滋賀県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 発達障害のいま (講談社現代新書) (新書)
2011年7月20日発行のこの本は,発達障害の研究と実践に関わる最新の情報が盛り込まれている。発達障害のある子どもたちや青年たちといくらかかかわることのある自分にとって,最も役に立ったというか,頭の整理になったと感じられたのは,発達障害とトラウマとの関係に関する説明の部分である。発達障害(その中でもとりわけ自閉症スペクトラム)は,近年,遺伝的な素因の研究が進んできたが,遺伝的要因だけで発達障害になるわけではなく,そこに環境上の要因が掛け合わさることによって発達障害が発現するという図式になる。ここまではすでに知られていたことだが,環境要因の中で最も決定的な影響を与えるのがトラウマだというのが,本書の主張の一つである。そもそも,自閉症スペクトラム圏の人たちは,対人関係の中で生じうるトラウマ的な体験に対して脆弱である。そうしたことも考え合わせれば,著者の指摘はよく理解できる。では,トラウマを防ぐにはどうしたらよいのか,また,トラウマを抱える発達障害児・者に対しては,どのような治療・教育的働きかけが有効なのか。それについては本書を読んでいただければ,多くの示唆が得られるだろう。もう一つ,本書を読んで頭が整理できたと感じたのは,発達凸凹という考え方である。認知に高い峰と低い谷の両者を持つ人のことを,著者はこのように呼んでいる。では,発達障害とどう違うのか。著者によれば,発達凸凹に適応障害が加わったものが発達障害だということになる。発達凸凹のある人は,発達障害になるリスクを抱えているが,適切な治療や教育がなされれば,障害を回避できる可能性や少なくとも障害を軽くする可能性があるだけでなく,優れた才能を伸ばす可能性も開けるのである。特に,個人に合った教育を創り出すことで,発達凸凹のある人の中から天才的な才能を発揮する人が出現する可能性が示唆されている点は注目に値する指摘である。 なお,発達障害と精神科疾患の関係に関する著者の議論は,まさに現在進行形の問題であり大胆なところまで踏み込んでいるようにも思われる。しかし,精神科疾患に対して発達障害の観点を取り入れることで,治療効果があがりにくかった人たちへの対処法を見いだしうるとしたら,やはりこの観点からの再吟味は必要なものなのかもしれない。 総じて,新書版なのでそれほどのページ数はないけれど,非常に示唆に富んだ知的刺激を含んだ本であると言うことができよう。
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最近のカスタマーレビュー
5つ星のうち 3.0
可もなく不可も無く
環境による遺伝子の変化可能性の問題に触れて、発達の問題が多くなってきていることを説明した部分は目新しいと思います。
投稿日: 3か月前 投稿者: 華麗な富士山
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