類書と比べての特徴点は特別支援学校としての視点ということである。
発達障害を扱っているから当たり前といわれるかもしれないが、本書は他に比べて特別支援学校や学級の教員に理解しやすい内容となっているように思われる。
まず、本書の特徴としてこれまでの養護学校の歴史や蓄積を踏まえて記述されているということをあげておきたい。
共通項こそが障害の中核。
全人的発達の視点。
指導法はほとんど同じである。
こういった特別支援学校での教育の視点を中心に発達障害の特質や対応についてわかりやすく記述されている。
連綿と築き上げられてきた養護学校・特殊教育の伝統。
発達障害ということばや概念が広がる前から取り組まれてきた教育の実践。
さまざまな障害をもつ児童生徒への教育で積み上げられた手法や経験は新しい障害概念である発達障害にも十分に役に立つものであることが本書を読むと実感できるだろう。
発達障害への対応は難しい。
そのためか類書は汗牛充棟の観もある。
だが、個人的には違和感を感じている部分もあった。
どうしても障害そのものへの視点が強すぎたり、医療的な視点からの対応策で学校現場では実践しにくい、疾病や傷害への対策としてはいいかもしれないが、実社会ではかえって適応を悪くするような記述を目にすることも多かった。そんな風潮もあってか実のところ世間で言われているような発達障害への対応策に抵抗感を感じている教員は少なくない。
それに対し、本書は特別支援学校の組織や教員の考え方に非常に親和性が高い。著者が学校現場をよく知っているからであろう。よくよく読めば新しいことは何もない。だが、特別支援学校でのそれまで取り組みをどのように発達障害への支援に活用するか非常に示唆に富む部分が多い。経験の浅い教員だけではなく、ベテランといわれる層の教員にとっても得るところが多い書であろう。