マスクの男アラスカが失踪し《ソル》が時間稼ぎで待機中に遭遇した惑星グロソフトの事件でのネズミ=ビーバー獅子奮迅の大活躍とアフィリカーVS信仰の論理の新たな局面を描く大長編SFスペース・オペラ宇宙英雄ローダン・シリーズ第374巻。本巻の執筆者は久々登場の新人パットンと息の長いベテランのマールです。前巻ラストでアラスカが踏み出した未来の地球の謎は残念ながら一旦お預けで、本書後半からはまたブルが奮闘するアフィリカーの地球編が再開されます。ここまで地球編は結局テラナー同士が憎み合い殺し合う過去の愚かな世界大戦の様な虚しさを感じ読むのが辛い面もありましたが、事態が急変し思わぬ新展開で俄然面白くなって来ます。
『発信源グロソフト』ハーヴェイ・パットン著:惑星グロソフトからの非常シグナルを探知したローダンはグッキーとロイドを搭載艦で派遣する。本編では我らがグッキーの人間性の魅力が大爆発で強大な敵に超能力を封じられながらも諦めずに必死で戦います。新人パットンはグッキーとの相性が抜群で本編が唯一作なのが非常に惜しまれます。『謎めいたラファエル』クルト・マール著:アフィリカー国家首席カサルは国家元帥ブルとアイアンサイド神父の共闘する組織‘信仰の論理’に一時休戦し地球に迫る‘喉’への墜落の脅威を回避する作戦に人的支援を呼びかける。本編では新たに現われた謎の第3勢力の代表ラファエルの正体が興味の焦点で、(一瞬最近顔を見せないあの人かなとも思いましたがそれは全くの見当外れでした)まさにシリーズでお馴染みの表現「それは何者?或いは何物?」を思い出させるぶっ飛んだ仕掛けでした。
本巻の翻訳者、林啓子氏のあとがきは好きなローダン作者の話題に始まって最後自虐的ギャグも飛び出すユーモアたっぷりの好エッセイです。ローダンは748話を迎えた今も最高の面白さですので、若い世代の方にも今からでもぜひ挑戦をお奨め致します。