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32 人中、26人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
西洋文化の浸透に対するアンチテーゼ,
By bluepasta (Brooklyn, NY USA) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 痴人の愛 (新潮文庫) (文庫)
田舎から出てきた、真面目だけが取り柄の電気技師河合譲治は、カフエエで働いていた少女ナオミを引き取り育てることにする。次第に成熟するナオミの肉体の妖艶さに惑わされ、ついには彼女の奔放さの共犯者となり果て、生活も荒廃していく・・・。その独白調の文体が、主人公が直接語りかけてくるような雰囲気で読者に親近感をいだかせ、ストーリーに引きずりこんでいく役目を果たしているようです。ナオミの魅力とその抗いがたい力は、大正末期の西洋文化の浸透と性的な開放感に対するアンチテーゼの意味合いがこめられているのでしょう。しかもそれは、わざわざ自分で見出して生活の一部にしたものである、という皮肉。そのうえ、一旦生活の一部になってしまった以上もう後戻りはできない、という影響力の強さ。ナオミという妖婦に惑乱される主人公に、西洋文化をある意味無批判に取りこんだ日本の行く末を暗示しているようにも感じました。 主人公の名前に「George」、「情事」、「譲って治める」などの複数の意味を読みとったのは私だけではないでしょう。華やかに豊かな文明開化を謳歌する大正時代の裏で、同じコインの裏側にある頽廃が忍び寄っている、そんなメッセージを受け取りました。
29 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
究極の愛の形。,
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レビュー対象商品: 痴人の愛 (新潮文庫) (文庫)
「悪女の魅力に引きずられ堕ちて行く男の悲劇」この小説をそう読む人は多いでしょう。 しかしこれは果たして悲劇なのでしょうか? そしてナオミは悪女なのでしょうか? 私には、ナオミの譲治に対する愛が感じられてなりません。 馬乗りになってくれと懇願する譲治に一度は恐怖で引き攣るものの、その願いを聞き入れ、女王然として振舞う彼女は、 譲治のマゾヒズムを満足させられる完璧な作られた女王なのです。 愛する男性の変態性に彼女自身が狂っていき・・・・・・ この物語は、少女を自分好みに調教し得た、男の成功物語なのです。 そしてその二人が住む世界は彼らのための世界であり、 私達の評価など受け付けません。 「馬鹿馬鹿しいと思う人は笑って下さい。教訓になると思う人は、いい見せしめにして下さい。私自身は、ナオミに惚れているのですから、どう思われても仕方がありません」 彼らの愛の世界は何物にも邪魔できない二人だけの世界なのです。
7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
譲治は、実はサディスト,
By taca (東京都世田谷区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 痴人の愛 (新潮文庫) (文庫)
男女関係におけるサディズムとマゾヒズムについて深く考えさせられる一冊。 主人公の男は、いかにもマゾヒスト、といったタイ プに思えるが、しかし彼は実は、究極のサディスト ではないだろうか。 ひとりの女を、自分好みの人形に仕立てるべく、自 宅で飼いならそうとする。相手に苦痛を与え、それ によって快感を得る人間がサディストであるならば、 貧しい境遇の美しい少女を、自分好みにすべく調教 を施し、その行為に快感を覚える譲治は、ナオミに とって大いにサディストである。 譲治は、自らの行為がサディスト的でありながらそ の自覚がまったくなく、むしろ相手にとって良いこ とをしている、相手も喜んでいると思っているのだ から、尚性質が悪い。 最終的に、ナオミは手のつけようがない悪女となっ てしまい、調教しようと思った女に情けないほど翻 弄されてしまうのは、皮肉な結末である。しかしな がら、男としての魅力に欠ける譲治が美しいナオミ を獲得できた事は、充分過ぎる勝利であった。 不器量、かつ女心の分からない無粋な男が、好きに なった女性を一方的に愛し、可愛がる行為は、他人 から見れば単なるサディズムかもしれない。そんな 恐ろしい推測が頭を過ぎった。
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