この本はオススメです!ただ、金田一の最後の事件だけあって背景が深いので、特に等々力警部の関わっている事件を2−3点読んで関係をつかんでから読んだ方が楽しめると思います。
この話は、一人の法眼弥生という女傑を中心に、金田一が彼女の一代人生の幕引き役を担った事件です。
上巻では、彼女の家の成り立ちとその延長線上に第1次事件が発生し、しかしその事件が表面上は未決として(金田一の中では一つの結論を得ますが・・・)法眼弥生の手によって打ち切られます。この時点では、金田一も彼女の手のひらの一つの駒に過ぎません。
そして上巻の事件から20年が経ち、その上巻の事件を種に下巻の第2次事件が花開き、今度は金田一がすべてを手のひらに載せ、その幕引きをするという展開になってます。
上巻は上巻で一つの事件を扱っていますが、下巻の事件との関係で明言を避けています。
ですので、読んでいてもどかしく、また金田一の行動に疑問を感じる場面もありますが、それは下巻で氷解していきます。
ちなみに私は、下巻を読んだ後に再び上巻に戻った口です。
事件そのものについては、ここでも横溝の世界は健在で、期待を裏切りません。
しかしその事件性以上に、ものの引き際というものを強く打ち出している物語だと思います。
法眼弥生の引き際。
等々力警部(第2の事件では引退していますが)の引き際。
そして、金田一(または横溝)の引き際。
物語の余韻が深く心に残る横溝晩年の名作だと私は思います。