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本書には、32編ものショートストーリーが収められており、その全てが背筋の凍る告白であるといえる。読者の恐怖をあおるような余計な描写は排除されており、最初は、さらりと読み進めることができる様に思えたが‥。本書を読む手は、幾度となく止まってしまうのである。
淡々とした語り口の中に、逆に「真の恐怖」が息づいている。
小児病棟に届く、花束の宛名には、10年も前に亡くなった子供の名前が記されている。花束の贈り主であるはずの母親は、すでにこの世にいない‥
本書は静かな恐怖に満ちているが、その恐怖に寄り添うようにして、人間本来の優しさ、温かさが感じられる。その何ともいえない混濁したギャップのようなものが、とても印象的であった。