ルース違反かもしれないが、最後の第6章に入る前に、「おわりに」の項を読むと著者自身の健康不安経験が執筆のきっかけとなったこと等がわかります。「自分の性格とどう向き合うべきか」を解説する6章の展開は、短いながらもそれまでの章の専門的かつ淡々とした論調とは若干異なります。ここは読者に対する深く温かい感情投入が見られ、よくある興味本位の「性格と病気関連本」と一線を画す良書となっています。
勿論各章の内容は素晴らしく、数々の国内・外コホート調査結果、性格と病気の有意な関連(非関連も)につき主にアイゼンクの性格分析にそった説得力と統計数値に基づく説明を行ってくれます。これら関連項目自体はよく見聞きするもので、目新しいものはありませんが、その根拠・研究データを(一般人にわかりやすく)示してくれたものはあまりなかったような気がします。肥満は伝染するか?(別な意味で伝染するようです)心筋梗塞とタイプA性格、がん(性格との関連性はどうも薄いようです)、認知症(これは性格とものの考え方で随分影響がありそうです)と長生きなど、これはお読みいただくしかないのですが、個人的にも実に参考になりました(レビューアーも年齢的に認知症リスクが高まってくるものですから)。
読後感として米国と日本では逆な性格/病気相関が見られることなど、ある意味納得。また欧米の多くの聖職者が自の脳を死後性格と脳の物理的変異研究の為に提供する、住人が長期間の研究データ蓄積に協力する等、多分日本では観念的にこういうのは無理だろうなと思わせる例も考えさせます。読みやすいので是非一読お薦めします。