2005年から2009年にかけて新美術新聞に連載した「通信アジア」とでも呼ぶべき本です。この本を読んで驚くのは、驚異的なフットワークの軽さで、アジア各国の作家に会い、リサーチし、ビエンナーレ、会議その他に参加し、交流し、自らキュレーションを行う・・その日々です。
日本にあまたのキュレーターはいますが、こんなに現在進行形の海外(この本ではアジア諸国)の美術にアンテナをはり、またその欠くべからず一員となり発言力、行動力のある方はいないのではないでしょうか?
その多くの現場のリサーチから、数々の興味深い指摘がなされています。現在の活気あるアジアの国々での美術活動は、ヨーロッパのそれとは異なる点が多々ある。将来的には近隣諸国との間での交流が増大し、情報交換、美術市場の拡大、美術館やギャラリーの連携や協働が広範に進む、とまとめられています。
今まではアメリカ、ヨーロッパを向いていた美術の流れは、私たちのすぐ近くで劇的な変化を起こしています。南條氏は、美術は政治や経済の動きと連動しており、注目すべき国々に早くも目を向けています。
それにしても、日本のすぐ近くでこんなにもダイナミックな動きが起きているとは知りませんでした。ぜひ見てみたくなるような活動が現在進行形でなされています。