お能にはまったく興味がないのですが、
著者が能楽師というだけではなく
ロルフィングというアメリカのボディワークも学んで
その共通点から体のしくみを説いているのが興味深い。
それで読んでみました。
世阿弥の教えである「体(たい)と用(ゆう)」を
解剖学的な筋肉や骨格で説明します。
世阿弥もやはり体を陰と陽に分析し、伝えてきました。
中国思想の陰陽を、能という体を使った文化芸術に落とし込み
日本人の感覚に沿ったものに変革しているのもおもしろい。
中国、日本、アメリカの思想と経験が渾然一体となったボディワークですね。
理屈はやや難しいですが。
本書に書かれているエクササイズも小さな動きで
からだの奥の大腰筋(背骨の下のほう、肋骨が終わる辺りから
股関節の下まで伸びる筋肉)を鍛えます。
さらに首から肩にかけてのコリをほぐすのに、肩甲骨の周りの筋肉、
大胸筋と小胸筋を緩めます。
大腰筋は自分では意識できませんが、この肩関節の周りは動かすと
気持ちいい。やみつきになりそう。
肩甲骨の周りの僧帽筋は痛い。
コリ過ぎですね、きっと。
印象に残ったのは、「なにかができるようになることが目標ではなく
動きそれ自体、あるいは生き方それ自体が目的です」という言葉。
ボディワークってどれでもそうですが、うまくやろうとすると
たいていダメですね。自分なりでいいんだ、と思うと楽です。