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疫病と世界史 下 (中公文庫 マ 10-2)
 
 

疫病と世界史 下 (中公文庫 マ 10-2) [文庫]

ウィリアム・H. マクニール , William H. McNeill , 佐々木 昭夫
5つ星のうち 3.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

かつてヨーロッパを死の恐怖にさらしたペストやコレラの大流行など、歴史の裏に潜んでいた「疫病」に焦点をあて、独自の史観で現代までの歴史を見直す名著。紀元一二〇〇年以降の疫病と世界史。「中国における疫病」を付す。詳細な註、索引付き。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

マクニール,ウィリアム・H.
1917年カナダ・ヴァンクーヴァ生まれ。シカゴ大学で歴史学を学び、1947年コーネル大学で博士号取得、同年以来、長い間シカゴ大学で歴史学を教えた。現在では引退し、コネティカット州のコールブルック在住。シカゴ大学名誉教授

佐々木 昭夫
1933年、東京生まれ。東京大学文学部、同大学院(比較文学・比較文化)に学ぶ。東北大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 301ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2007/12)
  • ISBN-10: 4122049555
  • ISBN-13: 978-4122049550
  • 発売日: 2007/12
  • 商品の寸法: 15.2 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
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8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By カーマイン トップ1000レビュアー
形式:文庫
 疫病の歴史に対する影響は今の我々が考えるよりはるかに大きいことは確かのようです。中国ではモンゴル侵攻の前に1億2000万人いたのがほぼ半減しています。いくらモンゴルが残忍であっても6000万人を殺戮するのは不可能です。この激しい人口減は疫病によるものと考えられ、昔の疫病のすさまじさを痛感させられます。
 裸体を隠すだけの衣服が行き渡ることによりハンセン病のバクテリアやスピロヘータが肌感染しにくくなり、スピロヘータは性病化して「梅毒」として生き残ったがハンセン病は下火になったとか、スペイン人の南アメリカ大陸への侵略に際してはスペイン人のもちこんだ疫病への免疫をもたない現地人が激減したため南アメリカ大陸のラテン化が容易に達成されたとか(実際、壊滅に近い影響を受けたため戦意喪失という心理的影響も大きい)、歴史家は説明しがたいもの、人間の営みから独立した事象である疫病のようなものの影響を思考から放逐しがちであるとか(なぜなら疫病の一撃を考慮しすぎると従来から延々と積み上げてきた歴史解釈体系を壊しかねないから)、大砲の発明により少数の人間に圧倒的な権力が集中し大砲帝国ともいうべき大帝国の成立が可能になったとか、西洋では医学校や病院が形成されたため疫病に対するノウハウが共有されていったが東洋では医学思想は古典にとどまっていたとか、17世紀以降の健康の改善(カロリーの豊富化など)により農業効率が高まり少ない農業従事者でも都市住民を食べさせていけるようになって都市が発展したとか、人口稠密であるため都市には病気が蔓延しやすく都市は健康な田舎者の絶えざる流入を成立条件としていたが公衆衛生の発達により都市が自立できるようになったとか、日露戦争で日本軍の兵士に予防接種を計画的に実施したことによる効果が認められて計画的予防接種が一般化したとか、マクニールの推測にすぎないものがほとんどとはいえ、大胆にそして想像力豊かに説得力のある論旨が次々と展開されていきます。
 訳者によれば、マクニールは、歴史家が専門分野を限定し、トリビアに走るという態度に批判的なんだそうです。その意味では、歴史家とはこういう手がかり不十分で困難な仕事にもチャレンジすべきだ、というお手本みたいなものを身をもって示しているともいえます。
 「疫病の歴史への影響」というほとんどわかっていないことにも大胆に取り組み、博識をベースにしつつスケールの大きな推測を働かせるおもしろい本です。ただし、人間の歴史というよりは「疫病の(推測の)歴史」なので、歴史に興味はあるけど疫病に興味がないという人にはおもしろくないかもしれません。
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