ラッセルとホームズのシリーズ、7冊目です。
前巻は英国のカントリーハウスを舞台の、ミステリー色が強い感じの話でした。が、今回は舞台も趣向もガラリと変えて、インドが舞台の冒険モノです。
マイクロフトの依頼で、行方不明のスパイを探す二人の旅を綴る物語ですが、前半はゆったりとした「19世紀インド再現」といった感じ。
インドへ向かう船旅のエピソードはまるで二人の遅いハネムーンのようで楽しい。
後半は、架空の藩国カンプールを舞台に、マハーラージャを相手にとった大冒険となります。
ラッセルの七変化といった感じの冒険も楽しいし、ホームズも相変わらず格好良い。(この方の書くホームズはカッコよくて良いです。)
個人的には、著者の描くインド像が新鮮に感じられました。日本人なら19世紀インドをこういう風に描くことはないだろうと思います。植民地化されていて、白人に虐げられていたというイメージのあるこの時代。でもこの作品で描き出されるインド像には、ヨーロッパ人のインドへの強い憧れを感じました。(著者はアメリカ人ですけれど…)
差別も蔑視ももちろんあったのでしょうが、それだけではない複雑な感情がヨーロッパ文明側にもあるのかも。そんなことまで考えてしまいました。