この本の全てを読破・理解した訳ではないので、レビューを書くことをどうかと思うものの。
どの時代に於いても、文学、あるいは、現代のどの分野にあっても、人生の中に新しいモノを取り込む方法としての「旅」というものは、いや、どんな、どの人にあっても、「旅」というモノは。
この本は実に興味深い挿話が織り込まれており、その一つヒトツを取り出して、拾い上げて読むだけでも、とても楽しい。
けれども、ネルヴァルの「人生」という視点から、その時代と物事の関わり方としてもネルヴァルの「旅」あるいは「文学」を考えると、とても居たたまれないような気持ちにもなる。
(彼の人生を一つの物語として読み解くならば)
「人生を何かに掛けるとしたら」(文学へあるいは自身の在り方と哲学と思想と・・・)
ネルヴァルの彼自身の問いかけ、あるいは、「人生の切り口」を見出すための「旅」として、読み考えるならば、彼の人生のある時点から、彼の内の何かが忽然と欠如してしまい、その代わりに何か途方もない恍惚を「旅」から与えられたのかもしれないと私は考えた。
しっかりと取り組みながら、向き合いながら、この本を視点を変えつつ読み通せたとしたら、読者自身の「人生感」も、少なからず変わるのではないかと想像してみる。
どの本でも、良書というものは、人生を大きく変えるチャンスを与えてくれるものだと、私は思っている。
この本も、そういう種類の単なる論説ではない何か想像力(創造力)豊かなストーリーを語ってくれる書物であると感じた。