カタリ派は、11世紀から12世紀にかけて、南フランスで大きな勢力を持った特異な宗教集団である。カタリ派は、キリスト教の異端派と見なされて居るが、(1)我々が住むこの世界は、善なる神によってではなく、悪魔によって創造された、(2)人間は転生する、と言った、驚くべき信仰を持って居た為、カタリ派をキリスト教の一派と見なす事が正しいかどうかと言ふ議論も有る。カタリ派は更に、(3)旧約聖書を聖典と見なさない、(4)ヨハネをイエス・キリストと同等もしくはそれ以上の聖人と見なす、(5)暴力と殺生を徹底して否定する、(6)徹底した男女平等を唱える、と言った点から、正統派カトリック教会と対立して居た。そして、十字軍への参加を拒んだ事から、法王の怒りを買ひ、法王が送ったアルビジョワ十字軍によって滅ぼされると言ふ悲劇的な終末を迎えて居る。輪廻転生を信じた事や、暴力の否定などから、「ヨーロッパの仏教徒」と呼ばれる事も有る様であるが、実際、カタリ派の起源は、マニ教に有るとする見方も有る様である。
この本は、そのカタリ派の教義と生活、歴史を、分かり易く語った名著で、カタリ派を知る第一歩として、非常に良い本ではないかと思ふ。
ヨーロッパ文化の知られざる一面を知る為に、本書を読まれる事をお薦めする。
(西岡昌紀・内科医)