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異星人の郷 下 (創元SF文庫)
 
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異星人の郷 下 (創元SF文庫) [文庫]

マイクル・フリン , 嶋田 洋一
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

遠い故郷に帰るという異星人たちの願いは叶うのか。黒死病が忍び寄る中世で、異なる文明をもつ者たちが相互に影響する日々を描き、感動を呼ぶ傑作。ヒューゴー賞最終候補作。

内容(「BOOK」データベースより)

現代のフィラデルフィアで、統計歴史学者のトムは、14世紀に忽然と消えた小村の謎を追っていた。同居する宇宙物理学者のシャロンは、光速変動理論を調べるうち、ひとつの宇宙論に到達した。二人の研究によって見出された真実とは。黒死病の影が忍び寄る中世の生活と、異なる文明を持つ者たちが相互に影響する日々を克明に描き、感動を呼ぶ重厚な傑作。ヒューゴー賞最終候補作。

登録情報

  • 文庫: 366ページ
  • 出版社: 東京創元社 (2010/10/28)
  • ISBN-10: 4488699022
  • ISBN-13: 978-4488699024
  • 発売日: 2010/10/28
  • 商品の寸法: 15 x 10.8 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 138,187位 (本のベストセラーを見る)
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16 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By hamachobi トップ500レビュアー VINE™ メンバー
いやぁ、とにかくその設定が面白い歴史SF小説だった。傑作かもしれない。今年自分が読んだSF小説の中でも、かなり上位に来ると思う。

異星人が中世ドイツの小さな村に漂着する。バッタのような外見をした異星人の困惑ぶり、そして彼らと出会った村の人々やカトリックの神父の反応が、とてもきめ細やかに描かれていて、SF小説というより歴史ものを読んでるようだった。

カトリックが人々の生活を文字通り支配していた中で、異種の人々と接触した人々が、反発しながらも、遠く故郷を離れた異星人に共感もしていく。そして異星人たちも望郷の気持ちを持ちながら、人間とともに生きていく。中世のヨーロッパの歴史については疎いのでここで書かれている背景をすべて理解できているのではないが、あとがきにも書かれているように、決してヨーロッパ中世が「暗黒の時代」だけではなかったことが伝わってくる。

ネタばれになるので、物語の後半について書くのはやめておくけど、涙なしでは読めなかった。

ところどころ、現代の話が出てくるが、上巻を読んでいると物語の展開を邪魔していて、余計な気がした。しかし、最後の最後にこの現代のエピソードを加えた意味がわかってきた。

面白かった。
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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By rom
中世ドイツとほぼ現代である近未来を行き来して、ストーリーが語られていく。中世ドイツの章立ては、カソリックの典礼暦が時のタイトルとして使われる。「四季の祭日の聖燭祭」「マントンのベルナールの祝日」といった具合に。現代のように「時間」に追い立てられる生活ではない中世においては、こういった祝祭や聖人の記念日のほうが、流れる時間につけていくラベルとしてはふさわしかったのだろう。ディートリヒ神父らが上巻で訪れるフライブルクの町はすでに賃労働や利子といった、時間に支配される生活が始まっているが、主な舞台である上ホッホヴァルトの田園ではゆったりとした時間が流れている。作家が米国人と知って、少し驚いた。
スペース活劇があるわけでも、夢の超新技術が登場するわけでもない。(しいていえば、クレンク人の移動手段ぐらいだろうか)ハリウッド映画のように、未来の知識と技術がペストから救ってくれるわけでもない。中世の時間と同様にたんたんと流れていく異星人との交流。
粉引きの仕組みやカムを使った仕掛けが作れるのだから、その延長上に異星人が使っている電子機器が登場しても不思議はないと考える論理的なディートリヒ神父。自分の利益を重んじつつも、わけありのディートリヒをかかえ、異星人さえ臣下とする領主マンフレートの合理主義者ぶり(ディートリヒの次に好きなキャラクターでした)。改宗する異星人を含め、紋切り型でない人物(異性人物?)像がストーリーに深みを与えています。異文化接触・受容や自己犠牲、献身、贖罪といったテーマが扱われ、それが「異星人との関係」を軸に展開されているという点をのぞけばSFと限定するより文学なのではないか。下巻は読み進めるうちに涙がでてしまった。
現代の部がどうしても必要なのか。「そうだったんだ。。。」という効果はあるし、それがSFらしくしている要素かもしれない。が、現代部分がなくても十分なりたつ文学。そんな作品でした。
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By yukkiebeer #1殿堂 トップ50レビュアー
 14世紀ドイツに不時着した異星人たち。小村である上ホッホヴァルトの人々は彼らをクレンク人と名づけて交流を始める。おりしもペストがヨーロッパ中で猖獗を極めていた時代。やがて黒死病は上ホッホヴァルトにも押し寄せてくる…。

 上下二巻本で700頁を超える長編SF小説です。
 上ホッホヴァルトの人々は当時の科学知識の範疇でクレンク人と接しているので、姿かたちが自分たちとは大きく異なるとはいえ、彼らが天空を越えてやってきた客人であるとは理解できていません。ルネサンス期以前でなおかつキリスト教絶対の時代に行われたファーストコンタクト。そこで人間(=西洋人)は彼ら異星人の価値観に敬意を払いながら、自分たちの価値観とどう折り合いをつけていくかを大きな課題とします。

 肉体が単なる器にすぎないこと、そして肝心肝要なのはその中に容れられた魂であること。(「肉体は莢にすぎません。大事なのはその中の魂です。」下巻191頁)こうしたいかにも中世らしい神学的思索が幾度も繰り返されます。ディートリッヒ神父ら主要登場人物たちは異形の人々の肉体の奥にある魂の姿を見つめようとひとえに努めます。

 ですからこれは、今日の目から見れば頑迷にしか見えない中世の価値観をのみ取り扱った小説ではありません。
 いみじくも現代の宇宙物理学者シャロンが言うように「宇宙を航行できる種族だからって、高い倫理観を持ってるとは限らない。海洋を航行できたヨーロッパ人が、インディアンより高い倫理観を持ってたわけじゃないのと同じこと」(下巻333頁)なのです。

 現代の歴史学者で西洋人のトムの助手に聡明なベトナム系女性ジュディが配されているのもまた、14世紀の中世と21世紀の現代とを並列化して異文化間接触を描くための必然的な設定です。
 人類が生来持つ狭量さとそこからの脱却・成長の可能性。人類にとって永遠のテーマを思考するための糧といえる小説です。
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