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異形の王権 (平凡社ライブラリー)
 
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異形の王権 (平凡社ライブラリー) [ペーパーバック]

網野 善彦
5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

婆娑羅の風を巻き起こしつつ、聖と賎のはざまに跳梁する「異類異形」、社会と人間の奥底にひそむ力をも最大限に動員しようとする後醍醐の王権、南北朝期=大転換のさなかに噴出する〈異形〉の意味と用を探る。

登録情報

  • ペーパーバック: 273ページ
  • 出版社: 平凡社 (1993/06)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4582760104
  • ISBN-13: 978-4582760101
  • 発売日: 1993/06
  • 商品パッケージの寸法: 15.8 x 11 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 19,353位 (本のベストセラーを見る)
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90 人中、86人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:ペーパーバック
 鎌倉時代末期に登場し、それまでの天皇に対するイメージを打ち破り、自ら幕府打倒のための呪詛を行うなど「異形」の天皇である後醍醐天皇。彼が歴史的に持つ意味を、非人と呼ばれた人々の存在と絡ませながら描いた力作。

 江戸時代以降「非人」などと呼ばれて差別の対象とされてきた人々は、古代にあっては人と異界の狭間に暮らす「人ならぬ存在」すなわち「聖なる存在」であったと著者は喝破します。農業以外の生業に携わり、特殊な技能によって社会に関わった彼らは、天皇直属の隷属民であり、その他の人々とは異なる存在と観念されつつもけして差別される者ではありませんでした。そして彼らの柿色の衣装をまとい、頭を布で覆うという出で立ちは、「異形」と呼ばれ、「人ならぬ者」の象徴と考えられていました。そして「非人」とされる人々以外でも、時に応じてこのような姿になることで自ら非日常の世界に入り込もうとする態度が見られたことが文字史料や絵画資料をもとに論証されています。

 ところが鎌倉時代後期からこのような様相は変化をはじめ、「非人」たちは差別・侮蔑の対象へと貶められるようになります。この本では仮説として示唆されるだけですが、「非人」たちを自ら権力基盤として積極的に利用しようとした後醍醐王権のあり方が一つの画期になったのではないか、と著者は提起しています。

 民俗学と歴史学の強調、絵画資料の利用などを積極的に進めようとする著者の態度はこれから歴史学が模索すべき道の一つを示しています。また、現在も生々しい差別が残る問題ではありますが、このような問題関心は我々の聖性に対するイメージの変遷を浮き彫りにするよすがになるのではないでしょうか。著者の論証は(飛礫の問題など)まだ一部思弁的でこなれていないところもありますが。
 なお、冒頭から読むより、まず最後の「異形の王権」を読んで、しかる後に冒頭に戻って読む、という進め方の方が理解が早いかも知れません。

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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 後醍醐天皇と魑魅魍魎の人々 2009/11/12
By 夜華
形式:ペーパーバック
網野史学の中で、中世期の絵画より彼らの衣装ならぬ“異装”より、異形と言われた人々の生活より、中世期に於ける“バサラ”を描く。特に後醍醐天皇を中心とする魑魅魍魎とした人達による王政復古の戦いや、バサラ達の生活様式に至る中世期を強かに生き抜く人達。彼ら異形の様式が、如何に蔑まされていくのか。それは宮崎映画「もののけ姫」に出てくる異形の人達のようが目に浮かぶ如く。その上で、力をつけてきた異形の庶民達が、時代が経つにつれてその力強さが喪失していく。権力に支配されていく様子は、中世期庶民の限界を表すのだろうか。
後醍醐天皇の特異性は、諸処言われているが怪僧文観による立川真言などのカルト教義の祈祷など、魑魅魍魎の世界観について網野史観の解釈は重要であろう。
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7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0 不十分な論説 2012/5/26
By gaki15
形式:ペーパーバック|Amazon.co.jpで購入済み
本書の構成は 
1・異形の風景 2・異形の力 3・異形の王権
となっており、いずれもその分析する視点が面白く、
かなり興味深く読み通せる。

1については「絵巻物による日本常民生活絵引」の
解説ともいうべきもの。この原著に当たらないと
なかなか良さが伝わらないが、細かな絵図から
その時代の生活風景(正確には異形の者)を読み解く
著者の腕が冴える。
風景の中に突如として、あるいは何気なく現れる異形の人物。
複数の絵図から読み解く、当時の「異形の人物」の意味。
このような試みを提示してくれたのはありがたかった。

2につては「飛礫」という一瞬何のことか理解しがたい風俗から、
日本及び朝鮮半島の民俗について、飛礫の持つ意味を明らかにする。

しかし表題の3については、なかなか評価が難しい。

後醍醐期の権力構造の異常なあり方を説明しているのだが、
どうにも隔靴掻痒の感があり、不満を持つ。

第一に、自分の論説に他の学者の論考を参考にするのは
当たり前であるが、必ずしも一致した結論がない状態で
「〜が明らかにしたように」・「〜の論文で分析されたように」
このような表現が多すぎて、納得しがたい。

自分の論説の根幹部分でこのような表現のみで、いかにも
説明し得たとするのは、反則に近い。自己の視座をより正確に
示す必要がある箇所で、このような十分に説明し得ていないことを
単純化するのは、看過できない。
興味深い視座を提示しているだけに残念。

特に3についてはその傾向が顕著。
典型的なのが「聖と賎」を論じる部分。
著者は(ありきたりの民俗学の本のように)
「(芸能について)聖なる異人としての平民との区別は
差別に転化し…」とさらっと流すが、その論拠はほとんで
触れられていない。
日本の民俗学の「ハレ・ケ・ケガレ」についての論文でこのような
表現が多々見られ、著者も又この悪弊を受け継いでしまっている。
ハレとケガレが「ケの反対概念」として一括りにしてしまい、
聖と賤を同一視してしまうことが妥当であるのか。
あまりに論証不足。

かなりの論及・証左がなければ、「価値観の180度の転換」など
起こりようもないのだが、それを「自明のこと」とする態度には首をひねる。

また「遊女」についても同じ説を述べ、
あたかも遊女が聖なる存在であったように表現するが、
前後の文章でもその根拠は一切ない。
この部分は正直驚いてしまい読み直したが、「著者の思い込み」しか
感じなかった。

上記を仮に正しいとしても、疑問は残る。
後醍醐期から江戸期まで一緒くたにして「被差別部落」を
説明しているが、これは明らかな間違い。
それほど「被差別部落の起源が明らか」であるはずもなく、
中世から近世・近代まで一筋の道で説明しきれるはずがない。
また、「被差別民の流動性」は一言も触れていない。
これまた不可思議。

以上、3については著者の筆が流れるようであり、かつ力強い
ために見過ごしがちだが、大きなミスと考える。

本書がすでに四半世紀を過ぎた著作であると割り引いても
やはり注意して読み解くべき本と考える。
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