面白い作品ではありました。
朝寝坊で、「正しい星辰スーツ」を着ていないと眠ってしまうクトゥルーさまや、それと敵対するハスター、手製の三角帽子をかぶっていないと消えてしまうティンダロスちゃん(しかしこの設定は徐々にうやむやに……)など、クトゥルフ神話ファンならニヤニヤする設定もいろいろ。
しかし、そういう「かわいいキャラクターに変換したクトゥルフ神話」を期待していると、ちょっとコレジャナイ感もあるかも知れません。
例えば、着ぐるみと中身、どっちが本体かわからないダゴンちゃん、という設定は、全くこの作品オリジナルと思いますし。
(要は毎年生贄が捧げられてるという話なんでしょうが……。それとも、私が知らないだけで元ネタがある?)
終盤、アザトースが「クトさまおひさしぶりですぅ」と言い出すあたりの展開に及んでは、
「いやいやいつからそんなに偉くなったんだクトゥルー」
と思わずにはいられませんでした。
「かわいいクトゥルフ神話」をと思っていたら、むしろクトゥルフ要素として矛盾してしまっている部分もあり、それではただのオリジナルのキャラクター漫画では……と。
(もちろん、我々人間の持つ「クトゥルフ要素」についての知識は不完全なんでしょうけれど)
合間に挟まれている短いクトゥルフコミックは(ブログにも掲載されていたものですが)、こちらは(時にコミカルな要素もありつつ)純粋にクトゥルフ神話的なお話です。
(それを普段拝見していたので、そういう展開を期待してしまったのですが……)
ともあれ、キャラクター漫画としての面白さはありますし、クトゥルフ神話的な要素もあり、またクトゥルフ神話要素の高い短編コミックも多数入っているわけですから、「純粋なクトゥルフ神話だけの本ではない」ことを理解した上で読むなら、買う価値のある本と思います。