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レストランでのちょっとしたやりとりや、現地の人々との交流、感動した景色など、宮本輝はこのようにして小説を書いているんだなぁ、と興味深く読みました。
始めに「ドナウの旅人」を読んで、忘れないうちにこのエッセイを読むのをお勧めします。
ドナウの旅人の取材目的で東欧を旅行する作者は、ブタペストで急に一行のガイド役を引き受けることになった現地の一大学生に出会う。彼は、日本に留学したいという夢を持っているが、研究テーマが国の求めている学問でないこと、また経済的な理由からそれが実現不可能なことであることを語る。こんな話を聞かされた時“フーン可哀相に。”という話で終わるのが現実であり、これが叶うのは、小説の世界と相場は決まっている。ところが宮本は、たった一度の出会いでこの異国の地の一青年に“行きの飛行機代だけは、自分で工面しろ。俺の家に住んで、日本の大学の修士課程を卒業しろ。”と言ってimpossible dream をpossible dream にすることを約束する。なんとも心温まる話である。体の底から感動が湧き出てきてしばらく治まることはない。お話でなく実話なのである。小説家というのは、現実が小説で小説の中が、現実なのだろう。 この話に色づけしたのが、彗星物語である。
全作品に息づいている作者のこの優しさと人間性に私たちは、惹き付けられるのであろうか。何れにしろ彼が、魔法を心得ているのは間違いないようである。
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