敗戦の大混乱の中、わが子を捨てる日本人は少なくなかった。捨てなければ親も子も生きることができなかった。そんな日本人の子を育てたのは20代の若い中国人夫婦が多かった。国家や民族という枠にはまった行動ではなく、人間としての命を守る、人間として生きるための行動だった。
中国人夫婦は自分たちも生きるのが精一杯の貧しい生活の中で、子どもを成長させた。30年以上たってその苦労は報われるどころか、新たな悲劇が始まっている。帰国孤児たちは養父母に恩を返せるどころか、彼らの7割は生活保護を受けて自分たちの暮らしさえ困窮している。
そんな苦しみの連鎖の中で生きる養父母たちのインタビューを涙なしに読むことはできない。平和な時代に生きる私たちに鋭く訴えかける現実に、胸を締め付けられる。