Amazonで発売前に偶々見つけて、「ついにパトレイバーの続編か!」と思って
予約した。到着したときは久々にワクワクして本を開いた。
数ページ読んで、「なんだこれ?」という感触。
主人公は「泉野明」。「いずみ のあ」ではない「いずみの あきら」である。
たまたま漢字が同じだけで、性別も違う全くの別人である。
他の主要登場人物も、過去のパトレイバーの登場人物に名前が似ているが、
全くの別人である。
この手法を使えば、読者は過去作品の登場人物の姿を想像しながら読み進める
事ができる。作者としてはこれは楽である。読者が勝手にキャラ作りをして
くれるのであるから。
よって、登場人物が姿形が想像できても、どんな人間か最後まで分からなかっ
た。「後藤田」隊長は何をしたかったのか。まったくの謎である。
終章で軽く触れられた、主要人物のその後も、何とも残念なものになっている。
また、過去のパトレイバー世界のような、レイバーが動き回っている社会を
創造してはいけない。レイバーという機械自体、失敗作であり、本作品の
世の中では絶滅しようとしているのだ。よって、特車2課が活躍する機会も
存在しない。実際本書ではレイバーが動くのは最終ページ付近の数ページ
だけである。
肝心の内容であるが、海外サッカーチームの日本遠征試合で、テロ予告が
なされるというのが核のストーリー。だが、テロの背景や犯人像は、
全く触れられない。実際はテロの話はオマケなのである。
作者が本書で書きたかったのは、「サッカーに関するウンチク」である。
これ以上でもこれ以下でもない。ただし、押井守がサッカーのウンチクを
書いても全く売れないであろうから、パトレイバーという世界観を被せて
売れるようにしたのである。
実際、本書は売れている。私のように、パトレイバーの続編に期待して
買った方も多いであろう。そして私のように失望感を味わった方も多い
であろう。
「この屈折、ウンチクが押井守なのだ」という方がいる。そうなのかも
しれない。よく調べないで買った私が悪いのかもしれない。
ただ、私はパトレイバーの続編が読みたかったのだ。残念である。