トンデモ精神科医伊良部シリーズ第三弾。帯コピーの「伊良部だって、ひきこもる」が本作の残念さを物語っている気がする。そこしか拾うところがないのかねえ。だってこれ、クライマックスでもとりわけ印象深いエピソードでもないのに。このコピー、表題作中のエピソードなのだが、四編中三編までがある種のモデル(パロディ)小説で、表題作のみがオリジナル。このバランスの悪さはなんだろう。
加えてこれまでと異なる点に、
★伊良部の存在感が希薄化
★看護師マユミのキャラに異変あり
があげられよう。ファンから不満の声が出たのも無理はあるまい。
しかしながら、「つまらない」とバッサリ書けないのが厄介なところで。三編のモデルは明らかにナベツネ氏、ホリエモン氏、黒木瞳さんなのだが、文庫ゆえタイムリーさは損なわれているものの、笑ってしまったし、思わず唸らされてしまう場面もあった。
思うに、三編が伊良部シリーズ本編に組み入れられているから違和感を醸すのでは。伊良部の存在感はかすむし、表題作は浮くし、ネタが尽きたか?と憶測を生むし・・・いいことがないではないか。スピンオフ的位置づけであれば割り切って楽しめたのではと思う。
シリーズを読んできた者としては・・・多弁なマユミには関心が持てない。あきれるほどぶっ飛んだ伊良部が見たい。誰かの顔が浮かぶ話より、区民プールの忍び込みに失敗する無名の会社員の話が読みたい。
そうして思い切り笑いたいのだ。
少し厳しいけど、星3つかなあ。