この書物でひとつ参考になったのは、日本人が望む理想の男性像が多分に両性的傾向を持つという最後の件である。なるほど、三船敏郎や石原裕次郎なんてのは必ずしも女性に人気があったわけではなく、むしろ男の間で偶像視されていたのではないだろうか。女性に人気のあるキャラというと、木村拓也にせよ、滝沢秀明にせよ、どこか女性的だし、ぺ・ヨン・ジュンに至ってはモロそんな感じである。となると、日本の女性は男に筋骨隆々のたくましさなど求めておらず、むしろ「細やかな優しさ」ということになり、それは光源氏にまでさかのぼるというのはそれなりに説得力がある。男が振り分けられた社会的役割が、社会的構築物に過ぎないというのは格別目新しい主張ではないけれど、日本という高度消費主義社会がおかれた社会的現実。さらに歴史の不可逆性というものを考えると、一般的に言って、村瀬が提唱する方向に世の中が進むのは、基本的に避けられない情勢だろう。であるから、保守的男権主義者がこのところうるさいのである。格別読み応えがあるわけではないが、セミナーや勉強会のテキストとして使えると思う。男女を問わず、中学・高校生なども読むと良いだろう。