よくぞ書いてくれた!と思う本が出た。このタイトルは、「男女同権」を今、一度、根源的な所から問い直そうとする、いわば矛盾多き現代社会への提起だと思う。常に本音で語る山下悦子という女性研究者だからこそできた快挙だろう。
すぐにセクハラ、女性差別呼ばわりされる男性には、このような勇気はない。この本では、均等法と同時に成立していた登録派遣法によって、女女格差が拡大される下地ができていたのであり、実は男女同権の美名の下にごく一部の女性のみが優遇される構造が、官僚主導の男女共同参画のもくろみだったことが明らかにされる。さらに世代間格差によって四十代の一部女性のみがおいしい部分を享受し、就職氷河期世代以降の二、三十代半ばまでの女性たちは、非正規雇用が増え、結婚もままならない、不安定な状況におかれている。ジェンダー論者たちによる主婦バッシングの内容も紹介されているが、子育て中の主婦に税金を払えだの、働けだのとすさまじい言葉があびさせられ、女性が女性を貶める様子がクローズアップされている。
一般女性も幸福ではないが、家族も自壊させられている現在、子供も老人も男性も幸福ではないということになる。経済指標や経済成長ばかりが強調され、賃金に換算される労働のみを評価し、とても大切な家族のための労働を無償だからとさげすむような男女共同参画社会はおかしい。老若男女共生社会へ価値観の転換をはかろうという山下さんの提言に心から賛同したい。