表紙を飾るヤクザの親分のような佐々井秀嶺師の存在を初めて知ったのは、山際素男氏の『破天 … 一億の魂を掴んだ男』だった。このタイトル通りなら、2007年10月の日本総人口は1億2700万人であるから、佐々井師は日本人全体に匹敵するアンベードカル仏教徒を導いていることになる。
佐々井師の桁外れの行動力を支える深い思索を、以下の引用から読み取ることができる。
タイではヴィパッサナー瞑想法を勉強しました。(p.38)
平和でない時に瞑想だけしてたら、闘いに負けてしまいます。(p.41)
私のダルマ(法)は、騙さない、盗まない、妬まない。(p.47)
今の大乗仏教はヒンズー教との折衷のような宗教だからです。(p.100)
私は真理を求めて、果てしなく彷徨い歩く旅人である。(p.142)
お寺は学校にも病院にもなるのです。(p.169)
日本にはもう仏教はない。もし、あると思いたいならば、現在の僧は皆家を捨てて、もしくは寺を出て、もう一度出家すればいい。そこにおいて、初めて出家らしい姿ができるんじゃないか。(p.277)
釈尊のように、苦に喘ぐ人々に「苦集諦(受け身の生き方)」が原因であることを諭し、「苦滅諦(自発的に学ぶ生き方)」が仏教の本意であることを教え、「苦滅道諦(出来ることから実際に行動する)」を率先して示す佐々井師の生き方に深く感銘させられた。