1981年(昭和50年)・12月作品。渥美清は53歳。倍賞千恵子40歳。
おいちゃんは下條正巳。満男役は吉岡秀隆11歳。吉岡はこのころが一番芝居がうまい。
マドンナは音無美紀子32歳。寅の香具師友達カラスの常の女房、光枝役。
寅は久しぶりに帰った柴又で、たまたま開かれる小学校の同窓会にでる。
同級生に犬塚弘、前田武彦、東八郎。クリーニング屋役の東八郎がものすごくいい。
同窓会で邪険に扱われた寅は、旅にでる。
そこで出会った家出娘が岸本加世子21歳。その兄でマグロ漁船の船員が地井武男39歳。
地井の芝居もいい。
寅は死ぬ間際の常に「死んだら女房の光枝を貰ってくれ」と言われて約束する。
上京してとらやを訪ねた光枝は寅に言う。
「ウチの旦那、変なコト言うのよ俺が死んだら寅に貰ってもらえって」
「寅さん約束したの」
「犬やねこじゃないのにねえ」
「寅さんはどうして約束したの」
「いやあ病人の言うことだから」
中だるみのシリーズをしっかり締める中興の秀作。
映画の中で使われる歌は北原白秋作。
陶淵明の『帰去来の辞』に想を得る
帰去来
山門(やまと)は我(わ)が産土(うぶすな)、
雲騰(あが)る南風(はえ)のまほら、
飛ばまし、今一度(いまひとたび)。
筑紫よ、かく呼ばへば 戀(こ)ほしよ潮の落差、
火照沁む夕日の潟。
盲(し)ふるに、早やもこの眼、 見ざらむ、また葦かび、
籠飼(ろうげ)や水かげろふ。
帰らなむ、いざ鵲(かささぎ) かの空や櫨(はじ)のたむろ、
待つらむぞ今一度(いまひとたび)。
故郷やそのかの子ら、皆老いて遠きに、何ぞ寄る童ごころ。