前作同様、個性あふれる歌姫たちの登場です。元歌を超えるのには、男と女の組み合わせによる化学変化が必要です。珍しいデュエットでなければ醸し出せない情感や掛け合いの雰囲気はこの企画のコンセプトの根幹を占めています。ほとんどの曲の名歌唱が耳に残っているわけですが、デュオによって、ただのカヴァー・アルバムではありません、という差別化がしっかりと図られていました。
清水信之、佐藤準、大坪稔明、鳥山雄司という名アレンジャーによって曲の変化が楽しめます。森高千里、中村あゆみ、大橋純子、広瀬香美という時代を創りだしてきた歌姫たちと稲垣潤一との絡みもハモリも違う色合いだからこそ、これだけ多様な雰囲気が出せるのでしょう。
稲垣潤一は歌姫の魅力がでるように上手くひき立てながらメロディとハモの歌唱や音量を調節しています。稲垣と歌姫とのバランスが絶妙で、個性をいかすキーへの転調もアレンジが上手くいっていますので違和感がなく、変化が生まれます。
寺田恵子との「世界中の誰よりきっと」はこの曲のもつPOPさにしっとり感が加わったようです。大人の歌唱ですし、ハーモニーの美しさが際立ちました。
岡本真夜との「真夏の夜の夢」も異色です。ユーミンの原曲の色彩感を残しながら、軽やかさが増しています。
小林明子との「けんかをやめて」では、ハーモニーもさることながらユニゾンの美しさに惹かれました。
藤田恵美の新しい魅力が伝わった「YES-NO」のPOPさはアレンジの勝利でしょう。
遊佐未森の「フレンズ」はとても良かったですね。遊佐の透明な声質がNOKKOのイメージを上手く消し去りました。
尾崎亜美との「恋におちて」は、1980年前後の2人の活躍を知る者には嬉しいプレゼントでした。組み合わせの妙だと言えるでしょう。