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10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
ヤクザな男たちのかく絵とは,
By コモちゃん "好々爺Q" (福岡) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 男たちのかいた絵 (新潮文庫) (文庫)
私は無類の映画好き、小説好き人間であるが、双方のジャンルでどうしても苦手なものに「任侠映画」「ハードボイルド小説」がある。どちらも男意気・強がり・やせ我慢・意地っ張りといった信条がキーワードだが、それらにどうしても共感が持てないのが理由だ。男だって痛い時は涙を流して良いと思うし、こりゃダメだと思えばくるりと後ろを向いてスタコラ走って逃げても良い時がある、と思っている。「男たちのかいた絵」は、私のその人生観と対極にあるヤクザの世界に生きる男たちが描く絵を8編、筒井氏が甘美なジャズナンバーのタイトルにのせて贈る連作小説。どの男たちもその絵の中で強がったり意地を張ったり、またさらに私の苦手な「男同士の×××」を繰り広げたりするので、読んでいて鳥肌が立ってくる場面もある。しかし、彼らの人生信条には共感できなくても、彼らがとる(というか、とってしまう)行動の根底にあるものには、なぜか不思議と共感できるものがある。形は違えど、私の中にもどろどろとした欲望や「わかっちゃいるけどやめられない」的な、自分自身で嫌悪しながらもついやってしまう行動パターンが存在するからだろう。筒井氏のこの小説はその欲望や、無意識下に愛して止まない行動パターンの掘り出し方がうまい。 8編あるうち最初の3編の内容は相当エグイので、ここで読むのをやめたくなっても我慢して読んでみて下さい。 そして一番のお勧めは「二人でお茶を」。ここに登場する「二人」の主人公の関係はとても信じがたいものだが、ラストシーンは「性善説」を信じたくなるような人間の温かみを感じさせてくれる。
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