本書のように具体的予算まで踏み込み自衛隊国軍化を謳う書を待っていた。
米国との普天間基地問題、中国との尖閣諸島問題等の原因は日本の自衛隊が予算も命令系統も戦略面も、更に国民意識でも「軍」として規定されていないことに端を発していると指摘。
その上で仮に今の体制で有事が起きた際のシミュレーションの悲惨さを書き、最終章「田母神国軍構想」で
・原子力空母
・戦略、攻撃双方の原子力潜水艦
・戦略的爆撃機攻撃ミサイル搭載型DDG
など「中国等仮想敵国と万一戦争になった場合対等に戦えるだけの軍備体制」を20年計画で、維持費や自衛隊員増強まで含めた試算をぶち上げている。
尖閣諸島問題で安全保障の関心は高まったと思うが、予算面は素人の私達国民には分らない。
本書試算で議論がぐっと前進するだろう。
今後安全保障を語る際は本書試算を踏まえる事は必須になるだろうし、寧ろどんどん引用してほしい。
20年計画の単年度予算金額は1兆4138億円と子ども手当の3分の2で財政面でも現実的な上、安全保障は無論景気、雇用対策としても有効だ。
一点苦言を呈すると、核発射実験や訓練をどこで行うかに言及していない。
第4章の回想にて「日本国内でミサイルの発射訓練は出来ません」と書く著者もこの点気付いているだろうから、彼もネックに感じているのか。
今後この論点にも注視する必要がある。
最後に驚いた点を上げると、著者が米中関係や自衛隊強化手段に言及する際経済的視点からの指摘が増えた。
ネットテレビ日本文化チャンネル桜出演の傍ら、同番組の経済討論を見たり経済評論家の三橋貴明氏の視点を取り入れたのだろう。
結果、彼の軍事に対する状況認識や提言に経済的側面が加わり複合的になったことで、今まで以上に説得力が増した。
今後も数字に基づいた包括的提言を続けて頂きたい。